毎週日曜日、いつもの魚屋へ刺し身を買いに行く。早いと10月下旬、遅くても11月に入ると、主人がすまなさそうにいう。「カツオはありません」
カツオがあるうちはそれにする。冬は市場に入荷しないので、別の魚に替える。サンマ、タコ、マグロ……。そのとき、そのとき仕入れた魚の刺し身を楽しむ。
ところが、今年(2021年)はとっくに立冬を過ぎたのに、「カツオはまだまだいけますよ」という。この時期にしては海水温が高いので、まだいわきの近くにいる。「さすがにイセエビは少なくなってきたようですが」
カツ刺し好きとしてはうれしい。しかし……。海水温の上昇が魚の動きを狂わせている。いつもだと、今ごろはサンマやタコの刺し身=写真=に切り替わっている。
写真のサンマ刺しは2019年12月1日のもの。このとき、カツオがないので初めてサンマとタコにした。
刺し身に関する拙ブログを整理すると、この10年ほどのカツオとサンマはこんな様子だった。
2012年までは夏場のカツ刺しオンリーで、冬になると、ときどき思い出したようにタコかイカの刺し身を買いに行く程度だった。
2013年は秋にカツオからサンマの刺し身に替わり、それも品切れになってホウボウの刺し身を食べた。甘みに引かれた。白身も捨てがたい。
そろそろ刺し身は打ち止めかなと思いながら、師走に出かけると、ヒラメとホウボウ、皮をあぶったサワラがあった。三つの盛り合わせにしてもらった。ヒラメのえんがわがコリコリしてうまかった。
冬には冬の刺し身がある。生カツオ以外の刺し身のうまさを知って、1年を通して刺し身を食べるようになったのは、たぶんこの年から。
サンマはどうか。2014年9月中旬の3連休にカツオが売り切れたので、サンマとヒラメ、マグロの盛り合わせにしてもらった。その年、サンマ刺しを食べたのはそれが初めてだった。
それから3年後の2017年10月末。カツオがなかったので、サンマの刺し身にタコを少々つけてもらう。この年、サンマの刺し身を食べるまでにはしばらく時間がかかった。海水温が高いので、北海道のはるか沖にとどまっている、ということだった。
2018年11月中旬には、カツオはあるが、さばいたら「はずれだった」というので、サンマとタコの刺し身にした。この年最初のサンマだった。
そして、2019年。「サンマはさっぱりです。海水温が高いので南下して来ない」。師走の声を聞いて、初サンマ刺しというのは、同じ魚屋に30年余通い続けて初めてだった。
去年もそうだったが、今年もサンマの刺し身は口に入りそうにない。「サンマは本来なら、もういわき沖に南下しています。それが根室まで4日もかかるんですから」。地球温暖化と国際的な乱獲が庶民の食卓を直撃している。サンマの刺し身が懐かしい。
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