2021年11月9日火曜日

紅葉狩り

        
 「チコちゃんに叱られる!」で、紅葉(こうよう)見物をなぜ「紅葉(もみじ)狩り」というのか、大学の名誉教授が解説していた。

「紅葉狩り」は平安時代に生まれた。貴族は鷹狩りのような特別な場合を除いて、平安京の外へは自由に出かけることができなかった。また、外出には牛車か馬に乗るしきたりだったが、山一面が燃えるような紅葉の名所へは歩かないと行けない。「狩り」なら自分の足で歩いても下品ではない――ということから「紅葉狩り」という言葉が生まれたそうだ。

しかしどうも「狩り」にはなじめない。夏井川渓谷の隠居へ通うようになって四半世紀がたつが、ブログで「紅葉狩り」を使ったのは一度だけ。単に「紅葉見物」ですませている。

夏井川渓谷はいわき市を代表する紅葉の名所だ。中心市街の平からドライブを兼ねて向かえば、小一時間で着く。

マイカーが普及する前、行楽客は磐越東線の蒸気機関車に引っ張られて江田信号場か川前駅で降り、渓流に沿って歩いた。

まだ小学校に上がる前、祖母に連れられて阿武隈の山里から平、あるいは小名浜の親戚宅へ行くのに磐東線を利用した。川前駅と江田駅の中間、牛小川で列車が臨時停車をした。対岸には水力発電所、目の前にはその社宅があった。

あとで知ったのだが、紅葉シーズンになると牛小川に臨時停車をして、ハイカーを乗り降りさせた。夏井川渓谷のなかでもそこが一番の人気スポットだった=写真。その牛小川の隠居に、日曜日だけ出かけて土いじりをする。

ちょっと下流には名勝「籠場の滝」がある。殿様が見事な景観に籠を止めて見とれたという伝説があるが、「籠場」は、ほんとうは「魚止めの滝の籠漁」からきている。

カエデは県道小野四倉線の谷沿いに点在している。カメラマンが吸い寄せられる木は決まっている。岩をかんで白く泡立つ眼下の渓流を背景に、紅葉したカエデを目の高さで撮影できる。この時期、カメラの放列ができる。

今年(2021年)の紅葉は、日曜日でいうと10月31日がピークだった。それから1週間後の11月7日はかなり落葉が進んで、色がまだらになった。

7日は快晴無風、11月に入って一番の小春日だった。朝から紅葉見物のマイカーが絶えなかった。場所によっては車が譲り合って行き来した。

人のにぎわいは山全体の紅葉より1週間遅れてやってきた。結局は谷沿いのカエデの紅葉に人が群れる、という形になった。

この時期、牛小川の隠居にいると落ち着かない。行楽客が隣の駐車場に車を止めて道路を行き来する。すると、目の前で土いじりをしている人間がいる。奇妙な生きもののように見られるのが嫌で、土いじりは朝のうちにすませて、あとはのんびり過ごす。どこの観光地でも、住民はそんなものなのだろう。

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