11月14日の日曜日は、夏井川渓谷の隠居へ行くのが2時間ほど遅れて、11時ごろになった。錦展望台を中心に、谷を縫う県道小野四倉線は紅葉見物のマイカーで混雑していた。
朝、上の孫のアッシー君を務めた。下の孫もそうだが、サッカーのチームに入っている。それぞれに「リーグ戦」がある。親は下の子を乗せて福島市へ出かけた。上の子は郡山市で試合がある。チームの集合場所まで送ってほしい、ということだった。
そのあとは、近くの国道6号から国道49号バイパスに入り、三和町のふれあい市場(直売所)を目指した。
たまたま孫の乗ったマイクロバスが前を行く。郡山市へは磐越道を利用するのだろう。ところが、いわき中央ICへは曲がらず、そのまま49号を直進する。
下道を行くなら、ふれあい市場までは“追っかけ”ができる。勝手にそう思ったら、違った。三和のとっかかり、合戸に入ると左折して三和ICから磐越道にのったのだった。
なるほど! 前に知り合いの車で郡山から磐越道を利用したとき、三和ICで下りたのを思い出す。いわき中央ICまで行くより300円ほど安い。
「磐越道利用者の生活の知恵だ、賢いなぁ」などと感心しているうちに、ふれあい市場に着いた。白菜や漬物、フキの油いためなどでマイバッグがいっぱいになった。あとはのんびり、差塩(さいそ)の山を越えて夏井川渓谷へと下る。紅葉目当てのマイカーとたびたびすれ違った。
1週間前の日曜日よりさらに落葉が進んでいる。車も多い。カエデ狙いのカメラマンはともかく、テレビの紅葉情報に誘われてやって来た人は、どこに錦繡があるのかと戸惑ったことだろう。
隠居に着くと間もなく、知り合いが宇都宮からの客人2人を連れてきた。男性はアメリカ人で、日本語が堪能だ。日本の近代文学専攻で、草野心平も研究しているという。「心平の何が?」「カエルの声の表現がおもしろい」。たちまち耳にオノマトペ(擬音)が鳴り響く。「ぎゃわろ ぎゃわろ ぎゃわろ」
女性は奥さん。日本人でキノコに興味があるという。知り合いは「鬼ケ城山まで行ってみる、クリタケがあれば」
奥さんを相手に、「私はこの庭でキノコ採りをする」と言いながら、庭の立ち枯れを見ると、ヒラタケが生えていた(写真を撮らなかったので、2020年11月29日に撮影した同じ木のヒラタケを載せる)。
ご主人が幹に取りつき、隠居にあった柄の長い小鎌でヒラタケを切り取った。ひだに「白こぶ」ができている。放射線量の話もして、「標本」としてプレゼントした。
知りあいから夜、連絡が入る。クリタケはなかった。隠居のある渓谷では震災前、10月25日に採った。そこから一気に標高を駆け上がったところに山がある。11月も半ばだ。胞子の放出はとっくに終わったのだろう。
わずか十数分の立ち話だったが、心平詩の「カエル語」と野生キノコの話ができてよかった。この時期、隠居の庭へ行楽客がたびたび入り込む。あいさつもない。同じ不意の客でも、こちらは「またどうぞ」である。
2 件のコメント:
こんにちは、先日は貴重なお話ができて嬉しかったです。お邪魔しました。またお会いするの楽しみにしております。今後とも宜しくお願い致します。
ーフィリップ・ゲイル
こちらこそ、また来てね。待ってます。
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