2021年11月29日月曜日

世界の若者が語る夢

           
 先日、いわきPITで「いわき地球市民フェスティバル」が開かれた。外国にルーツを持つ市民による日本語スピーチコンテスト――これがフェスティバルの中身で、コロナ禍のために去年(2020年)同様、出場者は動画で参加した。

 主催したのはいわき市民間国際交流・協力団体連絡会。シャプラニール=市民による海外協力の会のいわき連絡会も加わっている。スピーチコンテストに変わってからは、同連絡会のつながりで5人の審査員の1人になった。

 会場に集まったのはスタッフと関係者、出場者と審査員だけ。審査員が最前列に並び、銀幕に大写しされたスピーチ動画を視聴した。

審査の結果、一般の部(7人出場)では「しょうがの葉と木の板から得た自信」と題して話したALT(外国語指導助手)のキャサリン・ディベンコートさん(米国)、高等教育機関の部(13人出場)では「素敵なまち、いわき」と題して話した東日本国際大2年ルーン・ハ・アインさん(ベトナム)が大賞を受賞した。

 フェスティバルが始まる前にこんなことがあった。スタッフの一人でもあるカミサンと一緒に会場入りしたものの、開幕までにはだいぶ時間がある。その間、読んでみてくださいと、スタッフの一人から、いわき出身の若者がつくった本を手渡された。

 『WE HAVE A DREAM――201ヵ国202人の夢×SDGs』(いろは出版、2021年)=写真。およそ550ペーの分厚い本だ。

「地球を一つの『学校』にすること。世界の人々がお互いに学び合える場をつくることが、僕の夢だ」

学び合いの場から平和を実現したい! 何が起きても夢を描き続けよう――いわき出身の市川太一クンの思いが、インターネットを通じてまたたく間に世界に広がった。

そして、「ロックダウンのさなか家から書いてくれた人、街で紛争が起きるなかで書いてくれた人、本当にいろんな状況から夢の原稿が集まった」。その数201ヵ国の202人。

ひとりの若者が夢を語り、出版社にかけあい、ネットで呼びかけて出来上がった、かつてない本――それが第一印象だった。

スピーチ動画が終わり、私たちが別室で審査を続けている間、市川クンがゲストスピーカーとしてステージに上がった。聴衆は動画の出場者本人、まさに本に登場する若者と同じ世界、環境のなかで生きている。

本の帯に「世界のZ世代、ミレニアル世代の『夢』から僕らは何を学ぶ?」とあった。Z世代はアメリカで生まれた言葉で、1990年半ば~2010年代生まれの世代、ミレニアルはそれより少し先行する世代のことだそうだ。Z世代は真のデジタルネイティブ、パソコンやスマホのある環境で生まれ育った。

表彰式が終わって少し本人と話した。「これまで」のアナログ世代である年寄りは、まずこういう本はできっこない、と思ってしまう。「これから」のデジタル世代である若者は、そこを軽々と突き抜ける。

Z世代である「孫に読ませたい」。カミサンもすっかり本が気に入った。その前に年寄りが精読する。老いては若者に学べ――気候変動が大きな問題になっている今、特にそう思う。

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