1月23日の日曜日は、夏井川渓谷の隠居へ行くのをよした。金曜日の朝、平地にも雪が吹っかけた。庭に止めてある車の屋根が白くなっていた。渓谷の道路はどうか、白いかもしれない、というのが一つ。
もう一つ。土曜日の夕方、カミサンの親友の訃報が届いた。それもあって、カミサンは「隠居へは行きたくない」という。
では、一日、カミサンのいうとおりにしよう。そう思ったが、行った先で「あそこへ」「ここへ」と言い始めたので、やはり途中から考えを変えた。
昼前、薄磯海岸のカフェ「サーフィン」へ古い雑誌(「私の部屋」)を届けるというので、アッシー君を務めた。
ママさんはパッチワークをやっている。店内の装飾も独特だ。インテリアなどを扱った「私の部屋」ならママさんの仕事の参考にもなる。前々から約束していたようだ。
中神谷から薄磯への道は二つ。内陸(県道小名浜四倉線)を行くか、海岸(県道豊間四倉線)を行くか。近くの六十枚橋から右岸堤防を利用して海岸道路を行くことにした。
平野部の夏井川では河川敷の立木伐採と土砂除去工事が行われている。なかでも六十枚橋から河口にかけては変貌が著しい。堤防を行くのは一種の“定線観測”だ。
同橋を渡り、右岸堤防に折れると、河川敷の枯れヨシ原に炎が見えた=写真。堤防の土手にも火が入り、至る所で黒く焦げている。消防団員とポンプ車が出ていた。大字でいうと、上・下大越だ。毎年この時期の日曜日に野焼きを実施している。
ヨシは春に芽を出し、3メートル前後まで丈を伸ばす。震災前、そこでツバメの集団ねぐら観察会が開かれた。
日本野鳥の会いわき支部が、支部創立50周年を記念して発行した『いわき鳥類目録2015』に、元支部長氏の「観察メモ」が載る。
「日が落ちる前の夏の夕方、数万羽のツバメが空一面で乱舞し、その後、急降下しヨシ原の上を群れ飛ぶ姿に、息を呑むほど感動しました。その塒(ねぐら)は2008年、夏井川河川敷ヨシ原にありましたが、その翌年には仁井田川河川敷に塒を移し、今日に至っています」
23日はさいわい風もなく、しのぎやすい一日だった。堤防からは白い煙が幾筋も立ち昇り、河口のサイクリング公園や海岸には親子連れの姿が多く見られた。
海岸道路では確かめたいことがあった。前の週の日曜日未明、というより真夜中、津波注意報が発表された。
それよりほんのちょっと前、海岸道路で交通死亡事故が起きた。道路を南下すると、滑津川河口近くのガードパイプに花束などが添えられていた。川に沿うT字路を右折するとすぐ、いわき新舞子ハイツだ。
若いころ、警察回りをしていたので、死亡事故が起きると「現場」を確かめたくなる。なぜ事故が起きたのか、死んではだめだ――。一部黒ずんだ路面からメディアが伝えた事故の写真がよみがえり、何とも言えない気持ちになった。
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