カミサンが店(米屋)の一角でフェアトレード商品を売っている。その一つがパレスチナのオリーブオイル、オリーブ石鹸、ザアタル(ハーブミックス=香辛料)だ。合同会社「パレスチナ・オリーブ」(皆川万葉代表)から取り寄せる。
去年(2021年)秋、皆川さんからカミサンに電話が入った。世界的なコンテナ不足で、注文した品物の入荷が遅れる――。それが新年に入ってやっと届いた。
「パレスチナ・オリーブ通信」=写真=が添えられていた。商品の説明や現地の様子などのほかに、海上輸送の混乱と、4月入荷分からの値上げについて補足説明をしている。
「コロナ禍の影響で、コンテナ不足、アジアの港の混雑、海上運賃の高騰が起きていると言われている一方で、日本の経済力の低下や円安も影響しているようです。つまり、コンテナの『取り負け』や、コンテナ船が日本の港へ寄らないということが起きているそうです」
海上輸送の混乱は、現象的にはコロナ問題が主因だろう。しかし、根っこには日本の経済力の低下という問題が横たわっている――深く考えさせられる指摘だ。
値上げは海外の物価高と円安から。「どんどん円が安くなっているのでニュースを見るのが怖いです。日本だけが給与が下がり、『安い国』になっていく、構造的な問題なのでしょう」
今まで言われてきたのは、円安だと輸出が伸びて景気がよくなる、輸入は値段が上がって国内物価が上がる、つまり好景気になるがインフレも進む、というものだった。
ところが、新自由主義が浸透した結果なのか、かつての経験則は通用しなくなった。企業は内部留保を増やしても、従業員の給与を抑える。非正規社員を増やす。結果、平均年収は20世紀の終わりより下がっている、という状況になった。
アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いて、高度経済成長期の日本的経営を高く評価したのは1979年。
「日出ずる国」は今や「日没する国」になりつつあるのか――などと、パレスチナ・オリーブ通信を読みながら、つい日本の歩みにわが半生を、団塊の世代の来し方を重ねてしまうのだった。
さて、私は30年以上オリーブ石鹸を使っている。 若いときは洗髪にシャンプーを使っていた。ところが、すぐ頭がかゆくなり、フケがこぼれ落ちる。たまたまシリアのアレッポの石鹸に切り替えたら、フケもかゆみも止まった。
足裏も洗うと徐々に「薬効」が現れた。若いころから右足裏の皮膚がボロボロはがれたり、かかとが角質化してひび割れたりしていた。右足の小指と薬指の間がジュクジュクして裂け、痛痒かった。これが治まりつつある。
もうひとつ、商品とは別の感慨。同社は東日本大震災と原発事故のあと、仙台市から関西を経て山梨県甲府市に活動の拠点を移した。パレスチナ・オリーブ通信を読むまで知らなかった。通信には、3月下旬、仙台市に戻る、とあった。地元はなにかと心強いにちがいない。
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