今度の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は時代とともに主役が代わるらしい。広報資料などを読むと、祖母・母・娘の3世代100年のファミリーストーリーだそうだ。
戦争をくぐり抜けた安子(上白石萌音=祖母)の時代が終わって、今は高度経済成長期の昭和30年代、るい(深津絵里=母)が物語の中心だ。そのあとは、ひなた(川栄李奈=娘)の時代に移る。
るいは岡山から大阪へ出てきて、ひょんなことからクリーニング店に住み込みで働くことになった。
近所に映画館がある。館主が店に時代劇のポスターを持って来て張る。トランぺッターに、追っかけの女性が「ハワイの若大将」の映画チケットを見せて一緒に見ようと誘う。
昭和30年代の阿武隈の山里――。町に2軒の映画館があった。家(床屋)に映画ポスターが張ってあった。無料券も届いた。それを使って、中学生になりたてのころ、よく映画を見た。
加山雄三の大ヒット曲「君といつまでも」は高専2年のとき、平の映画館で「エレキの若大将」を見て覚えた。わが青春前期と朝ドラのるいの時代が重なる。
前置きが長くなった。まだ阿武隈の山里にいたころ、路線商店は地域の暮らしと密接につながっていた。クリーニング店はもちろん、米屋、八百屋、魚屋、お菓子屋、豆腐屋……。職住が同じだから、町内会の行事も、祭りも、消防団活動も一緒だった。
頼まれれば店頭にチラシやポスターを張る――という習慣は、街であれ山里であれ、今も変わらない。
わが家(米屋)の店頭にも市立美術館や文学館のポスターが張ってある。年末には近所の知人が「飼い主さん募集中」のチラシを持ってきた=写真。
それから半月ほどたった正月の連休明けに知人が来て、カミサンに報告した。仙台の人が引き取ってくれることになった、という。
ガラス戸から外したチラシを初めて読んだ。今は、若い人はパソコンを使って簡単にチラシをつくる。見出しと写真の大きさ、文字情報をどう配置するか、といったレイアウトにもたけている。
カラー写真で猫の姿がわかる。さらに、猫そのものの情報として、年齢(推定6カ月)・性別(女の子)・特徴(白地に黒混ざり、長い黒尻尾)・性格(人懐こくてそばに来てスリスリする)を簡潔に紹介している。
ほかに、健診状況として①避妊手術・ワクチン接種・虫下し・血液検査などを済ませている②保護猫である③複数の猫を飼っているので飼い主を募集する――といったことが盛り込まれていた。
前にもなにかのチラシが持ち込まれた記憶がある。飼い犬がいなくなった、だったかどうか。
古い人間にはリアル(対面)が一番という信仰のようなものがあるが、もうそんな時代ではない。
若い人はオンラインとリアルを上手に組み合わせて情報を受・発信する。新しい飼い主は仙台の人と聞いて、昔と今のメディア環境の違いを思わないではいられなかった。リアルな「口コミ」ならせいぜい数キロの世界だったのに、と。
0 件のコメント:
コメントを投稿