2022年2月12日土曜日

新聞レイアウト

                      

福島民友新聞が「ふくしま近代医学150年 黎明期の群像」を連載している。「福島医大医学部同窓会×福島民友連携企画」だ。

連載のなかで、いわき市渡辺町出身の医学者高木友枝(1858~1943年)を紹介することになった。

私は、医大とは関係がない。医療・医学史の研究者でもない。ブログで台湾旅行記を書き、そのなかで日本統治時代、医学・衛生面で貢献した高木を取り上げた。ただそれだけの縁で原稿依頼があり、軽い気持ちで引き受けた。

台湾へは同級生と行った。「台湾高鐵」(新幹線)に乗るのが目的だった。1回目は台北に着くと台風が襲来して断念した。2年後、再訪した。高鐵を利用して中部の日月潭や南部の高雄を訪ねた。

台湾へ行く以上はいろいろと調べものをした。そのなかで「台湾医学衛生の父」高木がいわき出身であることを知った。高木は電力会社の社長も務めた。

連載が始まると、仰天した。広告を除いた1ページを丸々使っている。同窓会側の担当者と連絡を取りながら、字数や掲載写真などを詰めた。さらには、渡辺町の生家周辺を訪ねて補強取材をした。そうでないと1ページは埋められない。

去年(2021年)10月中には原稿を仕上げ、写真も送った。掲載されたのはざっと3カ月後の2月7日だった=写真。

日本の活字メディアは全国紙・県紙・地域紙の3層構造になっている。私は地域紙で仕事をしてきた。

全国紙には一度、仲良くしていた記者の依頼で東北版に原稿を書いたことがある。若いときの話だ。それ以外は、県紙も含めて単なる読者でしかなかった。

今回初めて、県紙の仕事ぶりに触れた。驚いたのは、なんといっても紙面レイアウトの美しさだ。大きく三つの部分から構成されている。

私の文章を読み取り、高木の生涯の部分と、私が地元・渡辺町を探訪した部分を切り離し、それぞれ独立した文章として組み立てた。さらには、新聞社側が独自に用語の注釈をつけ、写真も用意した。

本文は確かに私が書いた。が、新聞社側も校正・整理といった本領を発揮した。「連携企画」とはつまり、この協働作業のことなのだと了解した。

原稿には参考・引用文献も記したが、それらは新聞紙面という「一般性」から割愛された。学術論文ではない。あくまでも普通の生活者が読んでわかる読み物である。そういう編集方針が貫徹されていた。

とはいっても、私のなかには参考にした本を記して感謝したい気持ちがある。長木大三『増補 北里柴三郎とその門下生』(慶應通信)、渡辺町町史編纂委員会『渡辺町史』、吉田荘人『人物で見る台湾百年史』(東宝書店)など6冊を紹介した。特に前の2冊には学ぶことが多かった。

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