2022年2月26日土曜日

庭のヤツデ

                      
    夏井川渓谷の隠居の庭にはフキが自生している。いつもだと、師走のうちからフキノトウが現れる。正月になるとすぐ、雑煮やみそ汁にちらしたり、てんぷらにしたりする。ところが、今年(2022年)はまだ1個しか見ていない――。

 ブログでつぶやいたら、ハマに近い農村部に住む後輩が「庭に出ていたから」といって、大きなフキノトウを持ってきた=写真上1。

 いやあ、ありがたい。カミサンがすぐてんぷらにした。翌朝は、みじんにしてみそ汁にちらした。春を感じる強い香りと苦みだった。

 大地は冬のうちに春を準備する。凍土がゆるむと緑が芽生える。フキノトウはその一つ。地上でも木の芽が春を待つ。庭の梅の木が満開になった。

人間も「光の春」のなかで庭に立つ時間が増えてくる。スイセンの芽に春を感じるだけではない。植えたこともないヤツデ=写真上2=があちこちにあることに気づく。

なんでヤツデが生えているのか。最初に不思議に思ったのはもう何十年も前のことだ。先日、また思い出して数えたら、白い実を持ったものから芽生えて間もないものでまで7本あった。

 これはまちがいなく鳥が介在している。庭にひんぱんにやって来るのはヒヨドリ。ムクドリも、冬鳥のツグミもいるが、確率的にはヒヨドリが“播種者(はしゅしゃ)”の可能性が高い。

 住宅地とはいえ、もともとは旧街道沿いの田畑だったところ。古くからの家は庭が広い。屋敷林もある。丘陵も近い。野鳥にとってはえさ場と休み場を兼ねたグリーンスポットが点々とある。

 ヤツデは典型的な陰樹だ。日光が少ないところでも育つ。初冬に咲いた白い花は翌年の初夏、黒く熟する。ある大学の観察によると、この実には種が五つ入っている。

ヒヨドリたちが実を食べる。胃の中で糖分を吸収したあと、残りをフンとして出す。フンのなかにはヤツデの種が入っている。

どこかよそでヤツデの実を食べ、わが家の庭に来てフンを落とす。それがたまたま活着して根づき、あそこにもここにも、となったのだろう。

小さな庭でさえ、絶えず自然と自然の交流、自然と人間の交流が行われている。生垣のサンゴジュがいつの間にか枯れ、軒下にアシナガバチが巣をかける……。

プラムは菌類がとりついた。長男の小学校卒業記念に苗木を買って植えたのが35年以上前。二股になった幹の片側にサルノコシカケの仲間が生えてきた。とりあえず片側部分は切断した。

何も手入れしないで、自然の移り行きのままにしておいたら、この小さな庭も雑木林になる? とはいえ、ヤツデばかり増えてもなぁ……。

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