2022年2月18日金曜日

たばこの吸い殻を拾うカラス

                      
    2月15日のNHK「おはよう日本」。「世界のメディアザッピング」で、スウェーデンでたばこの吸い殻をカラスに拾わせる実験が進んでいることを紹介していた。スウェーデン、たばこの吸い殻――すぐピンときた。

 平成21(2009)年9月、スウェーデンに住む同級生の病気見舞いを兼ねて、仲間と北欧を旅行した。ノルウェーのフィヨルドを観光し、デンマークの「人魚姫」も見た。

 スウェーデンの首都・ストックホルムの旧市街地・ガムラスタンを訪ねたとき、たばこのポイ捨てが多いのにがく然とした。そのときのブログの要約。

 ――ストックホルム発祥の地という、旧市街・ガムラスタンに橋を渡って行った。坂道がある。道は石畳になっている。「冬はみぞれのときに凍って滑りやすい」。ガイドの日本人が教えてくれる。その石畳を見ると、たばこの吸い殻が散乱していた。なんてことだ。

 ストックホルムだけではない。ノルウェー・ベルゲンの目抜き通りで、デンマーク・コペンハーゲンの歩行者天国でたばこの吸い殻が散乱しているのを目にした。歩きながらたばこを吸っている現地の女性もいた。――

――われら一行7人のなかに喫煙者が1人いた。単線のフロム鉄道(ノルウェー)に乗ると、途中、駅で5分ほど待ち時間があった。小雨の降るホームに出てたばこを吸う男がいた。彼だった。

スウェーデンでは泊まったホテルの前にベンチと灰皿が置いてあった。夜になると、人がビールを飲んだり、たばこをふかしたりしている。ホテルのレストランと直結していたのだ。吸い殻が灰皿からはみ出し、歩道に散乱していた。

彼はちゃんと吸い殻入れを携帯していた。5泊7日間の旅行中、向こうの人間をつぶさに観察したが、たばこに関するマナーでは彼が北欧一だった。――

 そして、カラス=写真。北欧へ足を踏み入れて初めて出合った生き物はカラスだった。日本のカラスと違って真っ黒ではない。首の周りや胸が灰色っぽい。目がかわいい。極東のコクマルガラスと近縁種のニシコクマルガラスだ。

 「世界のメディアザッピング」によれば、スウェーデンの新興企業が、カラスが吸い殻を拾って入れるとえさがもらえる容器を開発した。その容器に黒いカラスとニシコクマルガラスがやって来た。

ネットで検索したら、実験に利用したのは南太平洋・ニューカレドニアの島に生息する「カレドニアガラス」とあった。黒いカラスがそれか。

カレドニアガラスは「道具」を自作するカラスとして知られる。先端を鉤(かぎ)状にした小枝や葉をくわえて木の穴などに差し込み、昆虫や幼虫を引っぱりだして食べる。

そのカラスをスウェーデンに移して実験した? 檻の中ならともかく、野外での実験だとしたらよろしくないのではないか、とこれは私の素朴な疑問。

 そして、ネットにはこんなコメントもあった。「カラスを清掃活動に駆り出すべきではない」(野生生物学者)。人間がポイ捨てしなければ、カラスに吸い殻拾いを教える必要もない。ま、それが無理だからカラスの力を借りたわけだが。

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