2022年4月23日土曜日

戦争とソーシャルメディア

 わが家の庭のスノーフレークが真っ盛りになった=写真。この花はヨーロッパ中南部が原産地という。スズランのような白い花のへりに緑色の斑点がある。それがポイントらしい。

 中南欧の東、ウクライナでも民家の庭で咲いているかもしれない。今年(2022年)はときどき、そんなことを思いながら花を眺めている。

 ロシアが2月24日にウクライナへ侵攻して以来、日本のメディアも連日、戦況を大きく伝えている。

ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアでも、主にマスメディアのニュースが「シェア」されたり、「拡散」されたりして届く。

それで「戦争とソーシャルメディア」について考える時間が増えた。川内村の白樺は自生?植栽? ブログに書くとコメントが入り、植栽されたものとわかった。いわき市の「うまかたようかん」の話を書いたら、やはり市内各地から情報が寄せられた。ソーシャルメディアの反応の速さも影響したようだ。

現代の戦争もまた、政府・軍・マスメディアだけでなく、市民がソーシャルメディアで受発信することで、「すぐそこで起きている出来事」になった。

 まだネットもパソコンも普及する前の話――。いわき市三和町で農林業を営みながら作家活動を続けた故草野比佐男さん(1927~2005年)が、ワープロを使って5部限定の句集と詩集を編んだ。

「ワープロで遊びながらの感想ですが、ワープロの出現は、表現の世界の革命といえるんじゃないかという気がします」「世の中が妙な具合になった時に、武器にもなるはずです」。詩・句集とともに、そんな内容の手紙をもらった。

それから35年たった今、ネットを利用したソーシャルメディアは権力への抵抗の「武器」だけでなく、市民が市民を攻撃する「凶器」にもなっている、ということを数々の事例が教える。草野さんもそこまでは想像が及ばなかったろう。

 平時でさえそうなのだから、有事にはもっと激しい「情報戦」が繰り広げられる。ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんが4月中旬、朝日新聞「メディア私評」で象徴的な事例を紹介していた。

ロシア軍がウクライナ南部の都市、マリウポリを攻撃した。マリウポリに最後に残った国際メディア、AP通信のビデオジャーナリストら2人が空爆後の産科医院の写真を配信すると、ロシア当局は偽物だと主張し、妊婦は俳優だとツイートした。

このプロパガンダに対して、AP通信は2人に指示し、妊婦を探させる。俳優扱いされた妊婦は無事出産したが、ほかの妊婦は胎児とともに亡くなっていた。「妊婦死亡」のニュースを、世界中のメディアが伝えた。

「取材陣の命をかけた結果が、ソーシャルメディアで多くシェアされていることも、従来にまして戦争の理解を深めている」

   「シェア」と「拡散」を通じて、戦争の真実が世界に伝わる。草野さんのいう「表現の革命」「世の中が妙な具合になった時の武器」とは、つまり市民による有事の受発信のことなのだとわかる。 

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