2022年4月5日火曜日

また1羽になった

        
 日曜日(4月3日)の晩、小川町の「白鳥おばさん」ことSさんから電話が入った。それできのう、月曜日の夕方、どんな様子か見に行ってきた。雨が降るなか、エレンがポツンと浅瀬にいる=写真上1。また1羽になってしまった。

 エレンは、去年(2021年)、小川町三島地内の夏井川に残留したコハクチョウだ。えさをやっているSさんが名付けた。

Sさんによると、秋に仲間が飛来したころにはエレンも飛べるようになった。声をかけると、仲間と一緒に飛んで来る。「来春はみんなと北極圏へ戻れるんじゃないかな」11月に入ると、うれしい電話がかかってきた。

しかし、生まれ故郷のツンドラ地帯(北極圏)へ飛んで行くまでにけがが回復したわけではなかったようだ。

実は日曜日の朝、夏井川渓谷の隠居へ向かう途中で、夏井川に並走する国道399号(県道小野四倉線と重複)からハクチョウを観察した。およそ10羽が対岸の浅瀬で休んでいた。

この日は午後に用事があったため、午前11時前に再び三島を通った。やはり10羽ほどが休んでいた。そのあと北へ飛び立つグループもあったらしい。

山側の国道そばにさんが住む。Mさんもハクチョウにえさをやっている。夕方にはエレンだけになったと、MさんからSさんに連絡がいった。それを受けて、Sさんから電話がかかってきたのだった。

今年の1月、日本野鳥の会いわき支部に古米提供の話があった。知り合いのTさんから小川のハクチョウにどうだろうという話があって、私がSさんに、SさんからMさんに連絡がいって、古米7袋がMさんのところに届いた。

3月にはハクチョウの北帰行が始まる。特に中旬以降は目に見えて数が減る。今年3月後半の日曜日は車を止めて観察した。

▽3月20日=三島には100羽ほどが休んでいた。エレンがどこにいるかはわからない。あとで下流、平窪(平)の越冬地を見たが、川岸に重機が入っていたこともあって、ハクチョウの姿はなかった。

▽3月27日=三島のハクチョウは50羽ほどだった。年が明けてからでは一番少ない。去年はこの日、エレンしかいなかった。カミサンが撮影したなかにはばたきが異様な個体がいた=写真上2。「エレンでなくても、これでは北帰行は無理だろう」。今思えばそれがエレンだったか。

昔、やはりけがをして残留したコハクチョウにえさをやり続けた「白鳥おじさん」がいた。早朝、夏井川=中神谷~塩(平)=の堤防を散歩していたころ、男性が奥さんを軽トラの助手席に載せてやって来る。ハクチョウの写真を撮っているうちにすっかり仲良くなった。

残留コハクチョウは毎日、こうした人たちに支えられながら孤独に耐えて過ごす。「またえさをやり続けます」。Sさんは受話器の向こうで力強く締めくくった。

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