2022年4月3日日曜日

有毒植物

           
  バイケイソウをウルイ(オオバギボウシ)と誤食して中毒した、という記事が新聞に載った。山野草が芽を出す時期、あってはならない事故がおきた。さいわい命には別条がないようでよかった。

バイケイソウは、どんなところに自生しているのだろう。阿武隈高地の主峰、大滝根山で出合ったような記憶はあるが……。いわきの平地の里山や夏井川渓谷ではお目にかかったことがない。

 『福島県植物誌』によると、浜通りではいわき市三和町や田人町に自生する。仲間のコバイケイソウは中通りと会津の山々で見られる。

 バイケイソウとウルイは芽出し期の葉が酷似しているという。それで、食中毒事故が後を絶たない。

 福島県のホームページによれば、平成26(2014)年以降、バイケイソウの誤食事故は2件、今回の事故を合わせると3件になる。先の2件は「油炒め」、今回は「酢味噌和え」だった。確かにウルイの酢味噌和えはうまい。

 私も一度、危ない目に遭いかけた。ドクゼリをセリと勘違いして台所まで持ち込んだことがある。まな板にのせて根を縦に切ったとき、内部が竹のように節状になっているので、ドクゼリと気づいた。30代のころだった。

 「サバイバルグルメ」を自称して、春は山菜、秋はキノコを採ってきた。しかし、食欲が科学に勝ると危ない。ドクゼリの一件以来、半可通の怖さを忘れないようにしている。

 東日本大震災以後は、食材を求めて森を、野を巡ることがなくなった。今はわが家と夏井川渓谷の隠居の庭をうろつくだけだ。

 しかし、そこにも有毒植物がある。スイセン、スズラン、クリスマスローズ=写真。県のホームページには、スイセンをニラと誤食して中毒を起こした例が載っている。

植松黎著『毒草を食べてみた』(文春新書)によると、クリスマスローズは根にヘレブリンという心臓毒の一種や、皮膚や粘膜に炎症をおこすプロトアネモニンという毒成分を持つ。

庭に、ニリンソウがある。親類の土地に自生していたのを、少し分けてもらった。いわきの春の進み具合を測る目安にしている。おひたしにして食べたこともある。

山地ではこのニリンソウと猛毒のトリカブトが同じ環境に生えていたりする。新芽は区別がつきにくい。

ミョウガとノビルはどうか。他県ではスイセンをノビルと間違った事例があったらしい。ミョウガはまず大丈夫だろう。

4月下旬になると、庭のミョウガが芽を出す。その芽が10センチほどに伸びたころ、カットして食べる。

ノビルも葉を伸ばしてきた。これを鱗茎ごと掘り起こして水洗いし、葉も刻んで、味噌を添えて酒のつまみにする。

これからしばらくは、庭の地面を見つめながら歯を磨く。食材になるミョウガだけでなく、生垣にからみつくヤブガラシも芽を出す。これを今のうちにむしっておかないと、夏場、ヤブガラシだらけになる。

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