2023年2月20日月曜日

ヒジキの炒め物

                     
   デイサービスを利用している義弟が、帰って来て昼食に出たおかずの話をした。「あれ、あれ、海苔ではないやつ」。義弟の頭の中には映像が浮かんでいるのだろうが、こちらにはそれが伝わらない。

少したって夕食の時間になった。隣家に住む義弟がやって来るなり、「思い出した、ヒジキの炒め物だった」という。

わが家でもときどき、ヒジキと油揚げの炒め物が食卓に載る=写真。義弟の好物だ。あとで、それが出ると、「やっぱり、ウチのはうまい」。なじんだ味がいいのは当然か。

 義弟は、私より1歳下だ。デイサービスに通っているが、身の回りのことは自分でできる。食事だけはわが家でとる。

ただ、糖尿病と診断されたので、食べ物にはいろいろ制限が付く。塩分の濃い味噌漬けはもちろん食べさせられない。白菜漬けもいったん水につけて塩分を減らす。

それに合わせて、私も白菜漬けの食べ方が変わった。前にも書いたが、今までは子どものころからの習慣で、醤油を注いだ小皿に七味を振って、それに白菜漬けをチョンとつけて食べていた。その醤油皿が消えた。七味も振らなくなった。

一番の変化は味噌汁だろう。このごろは義弟の体に合わせて薄味になった。どうやらそれにも慣れてきたようだ。

そうしたなかで、ある日、義弟の体調が急変した。デイサービスへ行く日の朝、わが家に来るなり、「きょうは休む、めまいがする」という。

たまたまカミサンが近所へ行っていたので、私が急いで施設に電話を入れた。でないと、迎えの車が来てしまう。

程なく戻ってきたカミサンにめまいの話をすると、すぐかかりつけ医院から処方されたブドウ糖を取り出した。

義弟はインスリンを打つので、低血糖への注意が怠れない。そのためにブドウ糖があることを初めて知った。

さいわいめまいはそれで収まった。一過性?といいたいところだが、血糖値には波があるらしい。

そういえば、ちょっと前から血糖値を自分で測るよう、かかりつけ医院から測定器などを持たされた。

カミサンが手伝って、食事前、あるいは食後、ときどき採血して数値を記録している。それを目安にして、低血糖のときはブドウ糖やジュースを飲むようにするわけだ。

私も、薬をもらいに行くと、定期的に採血される。その場で血糖値が出る。「200になると糖尿病」とドクターにいわれている。そこまではいかないが、前よりは高い。

その意味では、義弟の症状は私の体の鏡のようなものだ。糖尿病になったら、こんな症状があらわれるのか、そのときどう対処したらいいのか、思い出すことになるのだろう。

生身の体の異変ということでいえば、若いときは体そのものに復元力があった。今はどうか。薬の力を借りて症状を抑えている――そんなところか。血糖値を軽く見るな。義弟のめまいの一件以来、自分にそう言い聞かせるようになった。

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