2023年2月28日火曜日

光は春だが風は冬

                     
    先週末はとにかく風が吹き荒れた。土曜日(2月25日)、シャプラニール=市民による海外協力の会の小松豊明事務局長がいわきで講演をした=写真。そのあと昼食を共にしたが、窓越しに見える街路灯が強風で折れるのではないかと思うほど揺れていた。

 翌日曜日はいわきサンシャインマラソンが5年ぶりに行われた。10キロ部門にシャプラニールのスタッフが参加した。

 応援の仲間と2人、大会後にわが家へやって来た。風との闘いだったそうだ。 私たち夫婦も、日曜日なので夏井川渓谷の隠居へ出かけたが、あまりの風の強さにすぐ退散した。

 隠居への行き帰り、いわきFMでサンシャインマラソンの生放送を聴いた。しばしば強い風に言及した。光は春だが風は冬――そんな状況の中でマラソンが行われた。

現実の風の冷たさはともかく、この2月はシャプラニールとの縁を再確認する出来事が重なった。

まずは上旬。元スタッフがわが家の道路向かいにある故義伯父の家に泊まった。泉に母親の実家がある。祖母が亡くなったため、通夜と告別式に出た。ホテルが取れなかったという。

故義伯父の家は、震災後、シャプラニールがいわきで5年間、支援活動を続けた際の宿泊所になった。元スタッフはこの家を拠点にいわき駐在スタッフとして活動した。

シャプラニールは前身が「ヘルプ・バングラデシュ・コミティ」だ。独立したばかりのバングラデシュで支援活動を始めた。そのメンバーの一人が私と同じ学校に学び、同じ寮の部屋で寝起きしたいわきの人間だった。それからの長い付き合いだ。

今はネパールへも支援の輪を広げ、両国にシャプラニールの駐在員がいる。小松事務局長はネパールだけでなく、いわき駐在も経験している。

土曜日にいわき市生涯学習フェスティバルが開かれた。そのなかでいわきユネスコ協会が文化講演会を主催した。その講師として、小松事務局長が「海外と国内の課題をつなぐ――シャプラニールの50年」と題して話した。

今回は故義伯父の家ではなく、いわき駅前のホテルに泊まって講演に備えた。サンシャインマラソンの前々日だったので、スムーズに予約ができたのだろう。

サンシャインマラソンに参加した現スタッフも事前に電話をよこした。故義伯父の家に泊まるのかと思っていたら、やはりホテルを予約していた。コロナ禍のために遠慮したようだ。

 震災直後、いわきへ支援に入ったころは、シャプラニールを知る人は少なかった。少なくとも今は、行政、社協、ボラセン元スタッフなどとは深いつながりができた。

シャプラニールが開設した交流スペースで講師を務めた元教師がいる。いわきユネスコ協会に関係している。その縁で講演が実現した。

人はいろんなコミュニティに属している。シャプラニールもまた一つのコミュニティだ。スタッフたちと話していると、ものの見方を含めて多様な価値観に触れられる。それだけ物事の判断がより深く、正確になる。外では北風が吹き荒れていても、いっとき春がきたような温かさを感じることができた。

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