おや、なんだろう。ここにも、あそこにもある。草がきれいに刈り払われた隠居の庭に、小さな穴がいっぱいできていた=写真。
日曜日(5月14日)の朝、夏井川渓谷の隠居へ行って、真っ先にシダレザクラの樹下を歩いた。
もうアミガサタケは出ていないとわかっていても、もしかしたらと淡い期待に動かされて地面を見ないではいられなかった。そのとき、丈の低い草がところどころでひっくり返っているのに気づいた。
最初は気にも留めなかったが、上下二段の庭をつなぐ西端の「あぜ道」を中心に、同じような穴がいっぱいできている。
穴の大きさは人間の足の親指大から大人のこぶし大、さらには子どもの足跡大までさまざまだ。
庭を荒らすのはイノシシ? しかし、イノシシはこんなに慎ましくはない。ブルドーザーで表土をはぎとるような勢いでラッセルする。
隠居の庭や近所の空き地をラッセルしたときの様子が、3年半前のブログに残っている。それを抜粋・引用する。
――隠居に着いてすぐ庭を見たカミサンが苦笑しながらいう。「またイノシシが……」。庭のラッセル痕が半月前より広がっていた。シダレザクラの木の下は、前は疊1枚分くらいだったが、3枚くらいに拡大している。しかも、掘り返したあとが深い。
菜園に生ごみを埋めてから、周辺を歩いてみた。隠居の隣は水力発電所の社宅跡だ。駐車場を兼ねた広場になっている。
谷の方からみると、吊り橋と同じ高さで最初の広場があり、そこから石垣と盛り土でがっちり固めた上部に、社宅跡が2段になって広がっている。
下の社宅跡の南東隅、隠居との境に大きなモミの木がそびえている。その根元から下の土手が、およそ幅3メートル、長さ20メートルにわたってほじくり返されていた。
前は土手も広場も草で覆われていた。がっちり土の流出を抑えていた草の根がどこにもない。雨が降ればむきだしの土砂が流れ出す。
ここまでやるのはイノシシしかいない。しかも1頭や2頭ではない、群れをなして、地中にひそむミミズなんかを狙って斜面をラッセルしたのではないか。
わが隠居の庭のラッセルはこれに比べたら、月とスッポン、ブルドーザーと鍬、くらいにかわいい。それほど激しく土手がほじくり返されている――。
ネギ坊主がふくらみ、ネギ苗が育って、辛み大根の花が咲いている菜園には、穴はない。が、隠居の玄関近く、庭木が数本植わってあるへりと、車を止める樹下にも小さな穴があった。それらも含めると、穴の数は100近い。
庭木の下の葉ワサビが、菜園の一角のタラの芽が消えたことはある。これは人間の仕業だ、ということは容易に察しが付く。
イノシシの荒々しさからは程遠い。しかし、人間だってここまではやらないだろう。イノシシでも人間でもないとしたら……。やっぱりよくわからない。
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