2023年5月22日月曜日

震災ボランティア活動の記録

                                
 文化人類学の子島(ねじま)進・東洋大学国際学部教授から『いわき発ボランティア・ネットワーク――ソーシャル・キャピタルの視点から――』(ミネルヴァ書房、2023年)と題する本の恵贈にあずかった=写真。

いっとき職場が一緒だったいわきの記者・中村靖治クンが編集協力者として名を連ねている。中村クンが持参した。

中村クンも加わるいわき市海岸保全を考える会が2011年秋、被災者130人の声をまとめて冊子『HOPE2』を発行した。これが同書の前半の土台になっている。

東日本大震災と原発事故が起きると、シャプラニール=市民による海外協力の会がいわきを拠点に、被災者(原発避難者を含む)の支援活動を始めた。

 当時、子島さんはシャプラの評議員、私たちは会員(カミサン)とマンスリーサポーター(私)で、子島さんとはシャプラを介して知り合った。

 やがて子島ゼミの学生が被災者の話を聞くためにいわき入りをする。そのころの様子を、拙ブログから抄出する。

――2012年6月初旬、東洋大の国際地域学科に学ぶ3年生6人が子島さんとともにいわき市を訪れた。「原発震災」の現状を海外に発信するための現地調査だった。

子島さんから現地ガイドと、聴き取り調査の相手の選定などを頼まれた。こちらでスケジュール案をたて、調整した。

デジカメのほかに、デジビデオで撮る。学生が英語でレポートするシーンも撮る。後日、インターネットの動画共有サービスを利用して発信するための“現地取材”だ。若者の「発信力」の高さを目の当たりにした。

そのとき、彼らは豊間の被災者宅で『HOPE2』に出合った。東日本大震災と原発事故の現実を、インターネットを介して世界に発信しなくては。現地調査の発展形として、学生による『HOPE2』の英訳プランが浮上した。その年の秋、子島さんと中村クンの打ち合わせにも立ち会った――。

『いわき発ボランティア・ネットワーク』は第1章「地震、津波、原発事故」、第2章「行動を起こした人々」、第3章「オリーブプロジェクト」、第4章「天空の里プロジェクト」、第5章「ソーシャル・キャピタルから見るボランティア・ネットワーク」からなる。

第1、2章は主に現地調査と『HOPE2』に基づいて構成されている。私が肌でわかる部分でもある。

 第3、4章は、現地調査からボランティア活動へと進化するなかでかかわりを深めてきた二つの現地プロジェクトを詳述している。

 「オリーブ」にしろ、「天空の里」にしろ、同じいわきに住んでいても、かかわりがなければ内容を知りえない。今回初めてそれを理解できた。

 第5章は、「ボランティアにおける信頼関係の深化や新たなつながりの生成」といったものが、いわきへ通うことで見えてきた、ということのようだ。

ソーシャル・キャピタル(「社会関係資本」などと訳されるようだ)は、私にとっては新しい概念だ。なるほどと思うことがいろいろあった。

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