2023年5月4日木曜日

空からやってきたクモ

                     
   何日か前、台所の南側の軒下で、1匹のクモが網を張っているのに気づいた=写真。体長は5ミリちょっと。「X」形の白い隠れ帯、黒と黄色の横縞(よこじま)模様からして、コガネグモの子どもらしい。

朝、歯を磨きながら、庭の地面に現れたヤブガラシの芽を摘み、生け垣のマサキの若葉を食害するミノウスバの幼虫を退治する。

 その延長で庭のあちこちを眺める。ミョウガタケが生えてきた。シランが蕾をふくらませてきた。食材や花が小さな庭にも次々と現れるのがわかる。

 台所の軒下では、前にキュウリやパセリの苗を植えた。パセリは生き延び、園芸種のガザニアもこんもりと葉を広げている。

 幅30センチ、長さ1メートルちょっとの横長スペースに、この春、カミサンがポット苗の花を植えた。鉢物も置いた。

庭にはエビネが少々、チオノドクサの白い花も咲いているが、まとまった花があるのはそこだけだ。花はパンジーが中心らしい。野菜はともかく、園芸種には興味が薄いので、花の名前はよくわからない。

 クモの子はその花の近く、鉢物の支柱を利用して地上70センチほどのところに網を張った。生まれたときからそこにいたわけではない。晩秋、どこか遠いところから空を旅してやって来たのだ。

 秋に孵化した子グモたちは集団で過ごしたあと、尻から糸を流し、それが風に乗ると空に舞い上がる。これを「バル―ニング」というそうだ。

 夏井川渓谷の隠居では、秋が深まると、このバル―ニングが見られる。隠居の真向かい、対岸の尾根から朝日が昇る。逆光のなかで空に伸びたクモの糸がキラキラと輝く。そのあと、子グモが糸に引っ張られるように空へ飛びたつ。

たどり着く先は街か海か田んぼか。キラキラのピークは11月。山形の方ではこれを「雪迎え」というそうだ。夏井川渓谷では雪が降らなくとも、この時期にクモの糸が輝く。それから少し遅れて雪虫が現れる。

たまたま西風に乗ってわが家の庭に着地し、越冬した。そして、花が多い、つまり虫が集まりやすい場所と高さを選んで網を張った。

 大きくなったコガネグモを何度か庭で観察している。そのときの様子がよみがえる。網の真ん中で、体を下向きにして、じっと獲物の昆虫が網にかかるのを待つ。獲物がかかるとすぐ走りより、かみつき、糸でぐるぐる巻きにして動けなくする。それを網の真ん中まで運んでから食べる。

クモに合わせて虫の動きも活発になってきた。渓谷の隠居では4月下旬、長靴ではなく、スニーカーのままで土いじりをした。すると、向こうずねがかすかに痛痒くなった。靴下のすぐ上が赤く腫(は)れていた。前にも同じことが起きた。ブユにかまれたのだ。

蚊もそろそろチクリとやり始める。最初に刺された日を記録している。わが家では例年5月20日ごろだが、近年は早まっている。5月1日の夜には、イエカが現れた。そろそろ蚊取り線香を用意しなくては――。

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