2016年4月23日土曜日

緊急地震速報の音

 1週間ほど前は、NHKテレビによく「緊急地震速報」が現れた=写真。あのチャイム音をどう表記したらいいだろう。「チャラララン、チャラララン」? 「キャラララン、キャラララン」? 久しぶりに聞く“非常通報音”に、頭のなかでキジの鳴き声が重なった。
 というのも――。結婚したばかりのころ、戸建て・庭付きの老朽市営住宅に住んだ。隣家でキジを飼っていた。突然、「ケンケン」と鳴く。すると、すぐ地震がくる。その繰り返しから、突然、キジが鳴けば「地震!」と身構えるようになった。

 地震には先行する小さな揺れ(P波)と、あとから来る大きな揺れ(S波)がある。緊急地震速報はP波をとらえたものだという。キジが鳴くのもP波を感知して、だろう。「チャラララン、チャラララン(キャラララン、キャラララン)」とキジの突然の「ケン、ケン」は、私のなかでは同工異曲だ。

 NHKによる緊急地震速報の解説、一般のネット情報で知ったが、あの独特のチャイム音は伊福部達(とおる)東京大学名誉教授が作曲した。音響学と電子工学、医療工学の境界分野で活躍してきた人で、「身の回りですでに使われている効果音やアラーム音などに似ておらず、聴覚に障がいのある人や高齢者などにも聞こえやすい音」を選んだ。

 伊福部ときたら、団塊の世代にはゴジラ音楽の伊福部昭だ。チャイム音作曲者の叔父だという。ゴジラの映画は昭和29(1954)年に制作された。阿武隈の山の町で見たのは、その2~3年あとだったような気がする。「ジャジャジャン、ジャジャジャン、ジャジャジャジャジャジャジャン」がおどろおどろしかった。不安と恐怖をかきたてられながらも、引きつけられた。

「チヤラララン、チャラララン(キャラララン、キャラララン)」もまた「伊福部サウンド」ではないか――ネットにはそれを裏付ける情報がころがっていた。叔父さんの作曲した交響曲「シンフォニア・タプカーラ」の第3楽章冒頭のメロディーを援用した、ということだった。こちらもゴジラの「ジャジャジャン」を連想させるような音だ。

 九州の被災者には申し訳ないが、緊急地震速報がキジを、ゴジラを呼びだした。ついでながら、ゴジラの出自はアメリカのビキニ環礁での核実験だった。

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