2016年4月8日金曜日

イノシシは美食家

 小学校の入学式の日の午後、地区の民生委員と区長の合同懇親会が開かれる。ほかの地区でもやっているかどうかはわからない。が、わが地区では恒例の行事だ。午前中はともに入学式に臨んだ。
 夜、翌日の仕事の準備をしないといけないので、「おチャケ」ではなく「おチャ」ですませた。それでも食べたりしゃべったりしているうちに、頭が疲れて酒を飲んだような気になった。

 もともとは農村地帯だが、平地は急速に宅地化された。その奥、小高い丘の陰に小流域がある。このごろはその地域から決まってイノシシの話が出る。イノシシの最新情報、というよりイノシシの多様な姿に触れる。

「きのう(4月5日)、イノシシが(オリに)かかった」。これは小流域の上手の民生委員氏。下手の民生委員氏はあきれたように言う。「まずは土の中のタケノコがやられる。それからジャガイモ、次にカボチャ」。これから波状的にイノシシがやって来る。

 地上に現れないタケノコを掘り起こすのは、しかしイノシシには簡単なことだろう。ヤマイモも、トリュフ(セイヨウショウロ)も見逃さないのだから。

 トリュフは日本にはないと思われていたが、近年、福島県内でも海岸の松林からウスチャセイヨウショウロが、阿武隈の山中からトリュフの仲間が発見されている。阿武隈の場合は、イノシシが掘った穴に残っていた。とっくにイノシシは日本産トリュフを味わっていたのだ。

 フランスではトリュフ狩りに雌の豚を使う。トリュフの香りが、雄豚が交尾期に発する性フェロモンに似ているからだそうだ。それがイノシシに当てはまるかどうかはわからない。が、雌イノシシが雄イノシシの性フェロモンに似た土中の菌をかぎ当てた――それが日本産トリュフだった、ということが証明される日がきたりして。

 日曜日(4月3日)に夏井川渓谷の隠居へ行った。庭に穴ができていた=写真。埋めた生ごみをほじくり出して食べる生き物がいる。イノシシは、こんなおしとやかな掘り方はしない。金網も石も吻(ふん)で飛ばしてしまう。タヌキかハクビシンか。
 
 懇親会でイノシシの嗅覚と吻の強さが話題になったとき、イノシシとトリュフの話をしたかったのだが、我慢した。イノシシの話を楽しんでいるように思われるのも何なので。

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