上の孫(小6)が誕生日を迎えたので、きのう(4月21日)、「好きなものを買ってやるから」と連れ出した。ガンプラ(ガンダムのプラモデル)を売っている店へ直行した。孫は夏井川渓谷の隠居を「山のおうち」という。買い物をすませて、「山のおうちへ行くか」というと、うなずいた。
隠居へ誘ったのにはワケがある。カミサンは庭の枝垂れ桜が咲いているかどうか、私はその樹下にアミガサタケが生えているかどうか――を確かめたかった。孫も隠居へ来ると、庭に水路をつくって水遊びをする。その水路が残っている。風呂場からホースを伸ばして水を出すと、水路が復活する。スコップで水路を新設・修復することができる。枝垂れ桜・アミガサタケ・水路遊びで、渓谷行きが決まった。
枝垂れ桜は満開だった=写真上1。平地のソメイヨシノと時期を同じくして咲く隠居の対岸のアカヤシオはどうか。今年(2019年)は平地のソメイヨシノより早く咲き始め、平地のソメイヨシノが散り始めた今も、散ったり色あせたりしてはいるが、谷から奥山の尾根まで、まだ咲いていた。これにヤマザクラの花が加わって、それなりにはなやかな雰囲気をかもしていた。気温の低い日が続いたのが、花が長持ちした理由だろう。
でも行楽客は、色あせた対岸の点描画より、道路からすぐそこにある隠居の庭の枝垂れ桜に目がいく。「写真を撮ってもいいですか」。カミサンが「どうぞ、どうぞ」と応じる。「家桜(うちざくら)」ながら、通りすがりの人がカメラを向けるまでになった。それはそれでうれしいことだ。
「花よりキノコ」の私は、その樹下に入り、地面に目をこらす。ない、アミガサタケは出ていない。でも、見落としているということがある。二度目もない。
三度目。幹を背に“花の噴水”がこぼれる先まで、同心円状に少しずつ視線を移していくと、あった。大人の親指大の子実体(植物でいえば花)が一つ=写真上2。近くに、また一つ。やはり、生えていた。孫に、「フランスでは、このキノコが春の味なんだよ」と言ってみる。
平成25(2013)年師走、庭が全面除染の対象になり、業者が表土をはぎとったあと、山砂を敷きつめた。除去された表土より深く菌糸が残っていたか、山砂に胞子が含まれていたかして、3年前(2016年)、久しぶりにアミガサタケが発生した。以来、毎年出現する。
これまでの採取記録をみると、アミガサタケは寒暖に関係なく、決まった時期(4月20日過ぎ)に発生している。それで、きのうは念入りにチェックした。油で炒めると酒のさかなになる。コリコリ感が持ち味だ。
枝垂れ桜・アミガサタケ・水路遊び――それぞれが目的を達成して満ちたりた気分になった。
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