ガン・カモ調査は1月13日、いわきを南部・中部・北部の3地区に分けて一斉に行われた。南部は鮫川水系の河口~高柴ダムの4カ所、中部は夏井川水系の塩・愛谷堰・平窪・小川と小玉ダムの5カ所、北部は沿岸部の豊間・夏井川河口・四倉港ほか3カ所で水鳥をカウントした。
その結果、多い順からマガモ1014羽、カルガモ(留鳥)619羽、コハクチョウ537羽、オナガガモ532羽、クロガモ357羽などが確認された。全体では28種3990羽で、一昨年(2017年)の3124羽よりは多いが、去年の4304羽よりは少なかった。
私は、平の街への行き帰りに夏井川の堤防をよく利用する。春から夏はキジやウグイス、オオヨシキリのさえずりを聴き、ツバメの飛行を見る。秋にはハクチョウの飛来を待ち、春先にはそれらが帰っていく日を確かめる。そんなことを40年近く繰り返している。
師走も押し詰まった12月27日、街へ用があった帰り、いつものように夏井川の堤防を通ると、コハクチョウたちは周囲の田んぼへ採餌にいったらしく、1羽しかいなかった。チラリと見てそのまま通り過ぎようと思ったが、その1羽のくちばしの色と模様がコハクチョウと違っていた。目から付け根が黒く、その先がオレンジ色だ。コブハクチョウだった=写真。
日本野鳥の会いわき支部の『いわき鳥類目録2015』によれば、コブハクチョウはいわきでは「漂鳥」扱いになっている。公園などで飼われていたのが逃げ出し、野生化したのが日本各地に定着しているらしい。
たまたまわが家へやって来た野鳥の会いわき支部の元事務局長氏と雑談した折、「鮫川へはよく来てましたけど、夏井川は初めてではないですか」という。
その後、同氏から届いた手紙で、主に欧州に生息するコブハクチョウが公園の池などに放鳥され、繁殖し、一部が飛び立って、新天地でまた繁殖していることがわかった。
北海道で繁殖したコブハクチョウのなかには、霞ケ浦・北浦へ南下して越冬する個体もいる。茨城県水戸市の千波湖でも、コブハクチョウが繁殖し、近隣の湖沼に拡散している。というわけで、塩に現れたコブハクチョウは「南下して来たか、北上して来たか、全く不明」だった。
今年の調査日にも、塩のコブハクチョウは残留していた。それだけではない。南部の鮫川河口では6羽の繁殖・定着が確認された。
前にも書いたが、コブハクチョウはデンマークの国鳥だ。アンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」や「野の王子」(白鳥の王子)は、コブハクチョウを題材にしている。良し悪しは別にして、いわきでも一年中、「アンデルセンのハクチョウ」を見られるようになった。
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