浜通りの平地や丘陵では見られない低木の花だ。花のかたちはハコネウツギやニシキウツギに似る。が、ハコネもニシキも、最初は白、やがて紅色に変わる。だから、見た目は紅白二色の集合体(ニシキウツギの「ニシキ」は「二色」)だが、布引のウツギは最初から淡いピンク一色だ。
ミニ同級会初日の6月9日・日曜日、JR郡山駅ビルで参加者8人が合流した。磐梯熱海温泉のホテルにチェックインするまで時間がある。布引高原経由で猪苗代湖南から磐梯山麓をドライブした。磐梯山ではロープウエーに乗り、やはり1000メートルほどの中腹から猪苗代湖を展望した。ここにも淡いピンク色の花が咲いていた。ヤマツツジも満開だった=写真下2。
淡いピンク色の花はなんだろう。ウツギ系であることはなんとなくわかる。帰宅して、「布引高原 ピンクの花」で検索すると、タニウツギらしいことがわかった。仲間も調べてタニウツギだ、といってよこした。
知りたいのは分布域だ。暖地系なのか、寒地系なのか。ネット検索を続けると、前にも紹介した「山学校」の先生、湯澤陽一博士(いわき)の文章に出合った。平成11年10月号の「文化福島」に<ハコネウツギとニシキウツギ>について書いている。
その骨子は①ハコネウツギは福島県浜通りが南限と思われる②ニシキウツギは暖地系の植物で、宮城県南部が北限③阿武隈山地には初めから花が紅いベニバナニシキウツギがある。栃木県以北に分布する。いわきの矢大臣山にこの花が群生する――。
会津地方のタニウツギにも触れている。「ハコネウツギとニシキウツギが太平洋側に、タニウツギが日本海側にすみわけ分布している。太平洋側では宮城県南部でニシキウツギとタニウツギが入れ替わる」。阿武隈の主峰・大滝根山(1192メートル)の高地にはタニウツギが生育する、阿武隈山地の高地には「日本海要素域の飛び地」があることになる――。なるほど。
福島県は西から会津地方・中通り・浜通りに分けられる。その境をなすのが奥羽山脈と阿武隈山地(地理院地図では「阿武隈高地」)。大滝根山はふるさとの山だ。布引高原を歩き、磐梯山のふところに抱かれて、いわきのはるか北西、夏井川水源の故山がまたいとおしくなる。
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