先週の木曜日(6月13日)、テレビを見ながら晩酌をしていると、カミサンがBS日テレの「大人のヨーロッパ街歩き」を見る、といって、チャンネルを変えた。フランスはブルゴーニュ地方のディジョンが舞台だった。
「大人のヨーロッパ街歩き」にも、「世界ふれあい街歩き」にも、現地の食べ物が登場する。キノコが含まれていることがある。キノコ料理が出たら、すぐカメラを手に取ってパチリとやる。
「大人のヨーロッパ街歩き」に、クロラッパタケを添えた「鶏むね肉のソテー」が出てきた=写真。フランスではこんなふうにして食べるのか――。そう思ったのには、ワケがある。
東日本大震災から1年余りたった2012年5月中旬、国際NGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」がイトーヨーカドー平店2階で被災者のための交流スペース「ぶらっと」を運営していた。そこでフランス人写真家のデルフィンと会った。
彼女はその後もいわきを訪れ、津波被災者や原発避難者を取材した。「ぶらっと」のボランティア仲間で、英語が堪能なTさんが協力した。2014年春には、ドイツ在住の芥川賞作家多和田葉子さんと、同地で詩と写真展を開いた。多和田さんもTさんの案内でいわき・双葉郡、その他の土地を巡っている。その体験が作品集『献灯使』に反映された。
2013年の初冬、デルフィンがTさん母娘と一緒に夏井川渓谷の隠居へやって来た。私が落葉した渓谷林を案内しながら、キノコの話をしたらしい。翌年7月末、フランスから乾燥キノコが届いた。
平仮名がういういしいしかった(ここでは漢字交じり文にする)。「追伸 プロヴァンス産のマッシュルームを送ります。/水にしばらくさらしたあと、オムレツやグラタンなどの料理に使ってみてください。お口に合えばいいのですが……」
ネットで調べたら、フランスでは「トロンペット・ド・ラ・モール」(死者のトランペット=和名クロラッパタケ)」で、アンズタケの仲間だった。炊き込みごはんにすると、味も歯ざわりも「コウタケごはん」並みにうまかった。一級品には違いない。
日本でもクロラッパタケは採れる。が、まず食べない。バターとクリームには合っても、味噌と醤油には合わないのかもしれない。西欧で好まれるアンズタケも同じ理由で、日本では食べる人が少ない。
「鶏むね肉のソテー」に添えられたクロラッパタケは、乾燥品ではなく、生をクリームかなにかで加熱したようだ。ブルゴーニュ地方のキノコ食文化、というより、クロラッパタケの食べ方がわかって、なぜかホッとした。
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