2019年6月29日土曜日

サクラメントの娘さん

 カミサンの同級生が、アメリカ西海岸、カリフォルニア州のサクラメントに住んでいる。その娘さんが母親の故郷のいわき市へやって来た。
別の同級生の母親が今年(2019年)2月18日、満100歳の誕生日を迎えた。カミサンが花束を贈った。ほかにも花束が届いていた=写真。サクラメントの娘さんがその家を訪ねるというので、招集がかかった。運転手を兼ねて出かけた。サクラメントの娘さんからみると、祖母―父母―本人の世代がそろったことになる。

 娘さんは、日本のどこにでもいそうな若い女子の顔立ちをしている。日本語を話し、立ち居ふるまいも日本人と変わらない。でも向こうでは、家のなかで日本人(父親も日系人)、外ではアメリカ人として暮らしている。英語が母語のバイリンガルだ。

 彼女は、いわきで親しくしていた母親の友達に、向こうでの近況を語った。いわきの友達はアメリカへ嫁ぐ前の母親の様子を話した。

 それぞれの“近況報告”がすんだあと、彼女もよく知っているカリフォルニア米の話になった。「コクホーローズ」は、現いわき市小川町出身の「ライスキング」国府田敬三郎(1882~1964年)が育てた。「いわき出身だよ」というと、彼女は握りこぶしをつくってガッツポーズをとった。初めていわきとのつながりがわかったのかもしれない。

 それから、アメリカの詩人ゲーリー・スナイダー(1930年~)の話をしたかったのだが、名前が出てこない。「あれ、あれ、あのアメリカを代表する……」で終わってしまった。それを察して、フロストとかギンズバーグ、あるいはディランといってほしかったが、詩人の名前はついに出なかった。

 スナイダーの詩集『絶頂の危うさ』(原成吉訳=思潮社刊)は妻の故キャロル・コウダにささげられた。キャロルの母はジーン。ジーンは日系アメリカ人で、カリフォルニア州ドス・パロスで農業を営んでいた日系二世のウイリアム・コウダと結婚し、メアリーとキャロルをもうけた。つまり、キャロルは敬三郎の孫ということになる。

 こんなこともあった。11年前に会社を辞めたとき、サクラメントから手紙が届いた。中に入っているカードを取り出して開けると、急に英語の歌が始まった。英語のメッセージのほかに、日本語で「退職おめでとうございます」とあった。

英語の歌は意訳すると、こんな感じだった。「新しいダンスを始めるときだ/新しいリズムを学ぶときだ/新しいステップを学ぶときだ/今が最高なんだから」。要するに、人生を楽しみなさい――そういう意味なのだと思った。だから、「ご苦労様」ではなくて「おめでとう」。

この11年の間には原発震災があった。それでも毎日、新しいリズムで暮らしている。サクラメントの娘さんに会い、母親からの励ましを思い出して、また元気が出た。

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