阿武隈の山里では、ツチグリの幼菌をマメダンゴと呼ぶ。なるほど、アジサイの花が咲くころか――。確かに、今年(2019年)はそのとおりになった。というより、アジサイとマメダンゴが頭の中でつながった。
わが家のアジサイが青い花を咲かせている。きれいなので、金曜日(6月21日)の夕方、パチリとやった=写真上1。翌日は夏至。翌々日の日曜日早朝には、夏井川渓谷の隠居へ出かけて2時間ほど土いじりをした。ついでに、ツチグリの菌糸が張り巡らされている隠居の庭の一角に腰掛け用のカートを持ち出し、三本熊手で潮干狩りよろしく土を軽く引っかいた。
マメダンゴは地表すれすれのところにできる。生長して一部が地面から露出するころには、胞子が形成されるようになる。胞子ができはじめると、内部は黒っぽくなる。そうなると、もう食べられない。内部が“白あん”であれば、コリコリ(外皮)、グニュグニュ(内部)の食感が楽しめる。
2013年の冬、庭が全面除染された。翌年はあきらめてチェックする気にもならず、翌々年も期待せずにいたら、7月になって地表にマメダンゴが露出していた。マメダンゴ採りを再開した。
去年(2018年)までは、歩きながら靴底で、あるいは這いつくばりながら手のひらで地中の感触を探った。ところが、去年、カミサンにマメダンゴのありかを教えると、ためらわずに五本指を熊手にして地面をほじくり返した。小さなマメダンゴがころころ現れた。
で、今年初めて、三本熊手を使った。カートに座って、手の届く範囲で土をガリガリやると、あっという間に22個が採れた。
アジサイが咲き、夏至になったら、マメダンゴが採れる――私のなかにある“生物季節カレンダー”に、新たな経験則が加わった。
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