2020年2月13日木曜日

ネギの出荷も終盤

 夏井川の下流域、なかでも平・神谷地区はネギの生産地として知られる。上流から運ばれてきた土砂が広い範囲に堆積している。砂漠生まれのネギには、川の下流の砂地は格好のゆりかごだ。
 平の街から神谷のわが家へ戻るのに、よく夏井川の堤防を利用する。堤防に沿ってネギ畑が点在している。東日本大震災のあと、この風景が少し変わってきた。

ネギ畑だったところに家が建つ。ネギの栽培をやめて荒れ地化した畑がある。ネギ畑の面積が少しずつ減っている。生産者が高齢化しているのが一番の理由だろう。

 夏井川の上流、渓谷の隠居で在来種の「三春ネギ」を栽培している。三春ネギは秋まき(10月10日が目安)、下流の平・北白土で栽培されている「いわき一本太ネギ」(千住一本ネギ合柄)は春まき(4月10日が目安)だ。同じ在来ネギでも品種が違う。ただし、神谷地区で栽培されているのは、品種が改良された新しい「いわきネギ」だろう。葉が折れることもなくまっすぐ伸びている。

収穫期は晩秋から冬だが、平地のネギは真冬でも青々としている。12月には出荷が始まる。先日、堤防を通ったら、最後に残るネギ畑で老夫婦が収穫作業に追われていた=写真。

夏の定植から始まって、土寄せ、収穫・出荷と、人が出て作業をしていれば、三春ネギ栽培の参考にするため写真を撮る。

朝晩、散歩をしていたころは、ツンとネギの匂い(硫化アリル=アリシン)のするときがあった。特に冬の出荷期、皮むき中だったりすると、硫化アリルが一帯に滞留する。

皮むきは機械でする。ビニールハウスの方から「ヒューッ」と音がする。ハウスの中央にすきまがあって、青く大きなネットが外に出ている。空気を利用してむいた皮をそこへ飛ばす――今では懐かしい光景と匂いだ。

2019~20年の三春ネギはさんざんだった。平地のネギも、場所によっては台風19号の大水で根腐れを起こした。

きのう(2月12日)、カミサンの知り合いから自分で栽培している長ネギを袋にいっぱいもらった。さっそく夜、焼きネギにして酒のつまみにした。本人が言うように、少し硬い。焦げた皮だけでなく、その下の皮もむいてやわらかさとほのかな甘みを味わった。郡山の「阿久津曲がりネギ」が恋しくなったが、これもこの冬は台風19号のせいで口には入らなかった。

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