月遅れ盆のころから、梅雨のような天気が続く。9月12日の日曜日も曇天だった。土いじりにはこれがよかった。
8月29日の日曜日は小名浜へ出かけた。次の日曜日、9月5日はいわき市長選の地元投票区の立会人を務めた。日曜日に夏井川渓谷の隠居で過ごすのは3週間ぶりだ。
疊3枚分くらいのネギのうねがある。周りをイネ科の草が覆っている。後輩が軽トラに草刈り機を積んできて、きれいに刈ってくれたのが7月下旬。それからしばらくは気にも留めなかったが、8月半ばになると草丈が伸びてきた。
日曜日のたびに少しずつ草を引いた。一番いいのは「毎日、少しずつ」。それができないので、「毎日」よりはちょっと労力と時間をかける。とはいっても、真夏の太陽の下では「熱中しない」を言い聞かせてきた。熱中症になっては元も子もない。
「毎週、少しずつ」を2週間休んだら、畑の草が伸びてのびて、1メートルくらいになった。
それをフィールドカートに座り、ねじり鎌を使って根っこから引っこ抜く。雨で地面がやわらかくなり、草丈が伸びている分、匍匐枝(ほふくし)も一緒に抜けて、一度にけっこうなスペースが裸になる。たちまち引っこ抜いた草が山になった。
これは草引きの“ごほうび”、そう思うことにした。たばねて草を引くと、ときどき地面に緑色の芋虫が丸くなって転がっている。合計で10匹はいただろうか。
芋虫をデジカメで撮影する=写真上1。チョウであれガであれ、幼虫は食べる草が決まっている。芋虫の種類がわかれば、畑を覆っているイネ科の草も特定できる。
夕方、帰宅して真っ先に芋虫の名前を検索した。緑色の体、黒い角、その角とつながる顔のへりの黒色=写真上2。ほどなく同じ顔の画像にたどり着いた。クロコノマチョウ(黒木間蝶)の幼虫だった。
草は前からメヒシバらしいとみていたが、クロコノマチョウはメヒシバを含むイネ科の植物を食べる。畑にはびこる草を、この幼虫からメヒシバと特定できた。
クロコノマチョウは南方系のチョウだ。私が初めて出合ったのは去年(2020年)の8月初旬。夜、見たこともないチョウがわが家の茶の間に現れた。天井の梁(はり)に止まったところを撮影し、データを拡大して形と紋様をスケッチしたあと、ネットで検索してわかった。
「茨城県の太平洋岸北上回廊を経て、東北南部の太平洋岸(福島県浜通り)に侵入している」という研究者の報告があった。
今度はその浜通りの渓谷での繁殖確認だ。畑の草引きをさぼっているうちに、成虫が産卵したのだろう。卵から孵(かえ)った幼虫は、今では5センチ以上になった。
これも地球温暖化の身近な実例、いや、庭の、畑の草引きをさぼったあかし、といえなくもない。元は離れがあった、わが家の庭の一角がメヒシバやネコジャラシ(エノコログサ)で茫々(ぼうぼう)になっている。そこでもクロコノマチョウが産卵・孵化しているかもしれない。
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