数字からいわき市長選を振り返る。元新聞記者のクセで、そこからなにか新しい「事実」が見えてくるかもしれない。そう期待しながら電卓をたたく。最後は法定得票数がらみでちょっとざわついた。
13地区(旧市町村単位=久之浜町と大久村は一つ)の確定投票率と前回投票率の一覧がいわき民報に載った=写真。上から平、小名浜、勿来、常磐、内郷……久之浜・大久と続く。一番下の数字は合計。小名浜は前回43.65%、今回43.25%と、ワースト記録が続く。
私が記者になって初めての市長選のときはどうだったか。47年前の昭和49(1974)年秋、保革一騎打ちとなって、前衆議院議員の田畑金光さんが現職の大和田弥一さんを破り、初当選した。
そのときの投票率は85.21%。13地区のうち、小名浜は唯一、80%を割って最下位の79.45%だった。
以来、選挙のたびに小名浜の投票率をチェックする。いつも最下位、という印象が強い。今度もそうだ。なぜ低いのか。原因を調査・分析したレポートがあれば、ぜひ読みたいものだ。
各候補の得票数は、初当選した内田広之さんが4万5885票、次点の宇佐美登さんが2万8258票、現職の清水敏男さんが2万6658票、元経営者の猪狩謙二さんが2万5512票だった(以下、敬称略あり)。
得票数を投票総数で割った「相対得票率」は、内田36.00%、宇佐美22.17%、清水20.92%、猪狩20.02%。
得票数を有権者数で見た「絶対得票率」というものもある。朝日新聞の故石川真澄編集委員(1933~2004年)が提唱した。市役所担当になったばかりの20代後半、石川さんの記事を読んで知り、自分なりに市議選や市長選その他の選挙を分析するのに利用してきた。これも計算してみた。
内田17.17%、宇佐美10.57%、清水9.97%、猪狩9.55%と、低投票率を反映して数字が低くなる。
清水さんが現職の渡辺敬夫さんに挑んで初当選した平成25(2013)年の場合、やはり4人が立候補したが、上位3人についてみると、絶対得票率は清水20.27%、渡辺17.64%、宇佐美11.50%だった。
県紙に、法定得票数を獲得したのは初当選した内田広之さんだけ、というベタ記事が載った。
法定得票数は公職選挙法第95条によって決まっている。「市町村の長」は有効投票総数÷4、つまり有効投票総数の4分の1以上が必要で、だれも法定得票数を獲得できなかった場合には、再選挙となる。
今回の法定得票数は3万1578.25票だった。力のある候補が4人も出ると票が分散する。法定得票までの道が険しくなる。内田さん以外は法定得票数に届かなかった。
平成29(2017)年の市川市長選では5人が出馬し、法定得票数に達する候補者がいなかったために、再選挙となった。いわき市長選ももう1人、実力者が加わったら再選挙の事態になっていたかもしれない。
とにもかくにも選挙が成立したことにホッとした。一有権者として、また投票立会人を務めた者としても。
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