2021年9月2日木曜日

ウリ科の“大物”たち

                              
 月遅れ盆から数日後――平の滑津川下流域で暮らす後輩が、軽トラでやって来た。スイカ、トウガン、メロンと、ウリ科の大物を次々に、上がりかまちに置く。

それらを台所の勝手口に運んだあと=写真、アイスコーヒーを飲みながら雑談した。まずは大物たちの話から。「ハウスで栽培したの?」「いや、露地栽培」

正月に初めて後輩の家を訪ねた。家の前と後ろに畑がある。べらぼうに広い。そこが“大物”たちのフィールドだ。

ただし一つだけ、メロンはビニールハウスで育ったようだ。お盆中の8月14日、後輩が「ハウスの中はジャングル化。例年、田植え後のビニールハウスの中は、何も植えず空っぽにしていた。今年は、トマト、メロン、パパイア、バナナ他で足の踏み場も無いほど」と、フェイスブックに写真をアップした。

ビニールハウスは確か家の前にあった。田植えまでの春の一時期、そこで稲の育苗が行われたか。

最初のコメントから2時間後、やはり写真付きで「初収穫のメロン、追熟はお盆期間中、仏壇で行おうかな」と報告した。ということは、間もなく……。勝手にお福分けを期待していたら、そのとおりになった。

彼は海外生活が長かった。今は家族と離れて、単身、実家にUターンして、田畑を相手にフントウしている。

稲作が中心のムラは「水社会」だ。よその田んぼと用水路でつながっている。勝手な「我田引水」は許されない。協調が第一になる。一方の畑作は、栽培者の好みや経験が反映される。プロとかアマとかも関係ない。

私自身、夏井川渓谷の隠居の庭では「三春ネギ」を栽培している。在来ネギで、加熱すると甘く、軟らかくなる。香りも高い。

地元のある家でご飯をごちそうになり、ジャガイモとネギの味噌汁をすすった。それが子どものころ口にしていた味噌汁と同じ味だった。思わぬ出合いを喜んだ。初夏に苗をわけてもらった。それが三春ネギ栽培の始まりだった。

最近、後輩から届いたものを列挙すると――。アーティチョーク、ハバネラ(苗)、ズッキーニなど。そして、今度のスイカ、トウガン、メロン。ゴーヤー、枝豆も。

去年(2020年)は、夏の盛りにゴーヤー、キュウリ、トウガラシ、枝豆のほか、マクワウリが届いた。

野菜栽培の師匠はユーチューブ(動画)だという。あとはあまり手をかけない。スイカやトウガンはつるがからみあって、どれがどれだかわからなくなった、なんてことをいう。

まずはトウガン。カミサンがだしと醤油、みりんで煮た。冷やして晩酌のおかずにした。やわらかい果肉に味がしみこんでいた。スイカもカットして、冷やして食べた。いい水分補給になった。お福分けもした。

メロンは数日間、追熟した。いよいよ8月が終わるという日、カットして、冷やして食べた。去年のマクワウリもうまかったが、今年のメロンも夏のいい思い出になった。

後輩は「試作」品という。「では、『試食』記を書かねば」。しかし、今回のようにいつも「うまかった」で終わってしまう。

『徒然草』に「よき友」の話が出てくる。第一が「物をくれる友達」だ。「よき友」がハウスで育てているパパイア、バナナが気になる。

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