2021年9月7日火曜日

投票所一番乗り

                     
 いわき民報のコラムをまとめた拙著『みみずのつぶやき』(1996年)に、投票所一番乗りを狙ったときのてんまつが載る。平成4(1992)年9月6日投開票の県知事選と市議選の同時選挙だった。その全文は次の通り。

                      ☆

 投票所には投票所のセレモニーがあり、一番乗りにはそれに参加する“名誉”が与えられるというので、勇んで早起きした。

 これまでの例だと、一番乘りは午前6時40分ごろに現れる。遅れを取るわけにはいかないと、6時半には家を出た。投票所になっている小学校の体育館までは、車でほんの2、3分である。だが、着いたら既に3人のお年寄りが入り口に立っている。「私らが来るより早かったんですよ」と投票事務に当たる知り合いの市職員氏。

 そのセレモニーとは、要するに投票箱には何も入っていないことを、有権者自身に確かめてもらうことである。

 不正はしてません――と、わざわざ見せるわけだが、そうなるまでには曲折があったに違いない。日本の選挙史は過去に権力の介入・妨害があったことを教えている。今も買収・供応・操作の不正選挙が絶えない。

「はい、からっぽ」。おじいさんとおばあさんの2人が職員に導かれて投票箱の中を改めた。それを入り口から眺めながら、これはなかなか愉快な情景ではあるな、と思った。そうしないと不正が生じる恐れもある、と告げているようだったから。

 午前7時、ラジオの時報に従って責任者が投票開始を宣言する。振り向くと、後に20人ほどが続いていた。

                      ☆

 いわき市長選の投開票が9月5日に行われた。2人いる投票立会人の1人として、上記の体育館にいた。朝7時前の上記のセレモニーに始まって、夜7時後の投票箱閉鎖・施錠~開票場の総合体育館へのタクシー搬送まで、ざっと12時間余の“公務”だった。

「投票立会人のしおり」=写真=を何度も読み返した。「選挙で知り得た情報」については「守秘義務」があるという。しかし、投票立会人そのもの、あるいは慣例的な選任方法などは秘密でも何でもないだろう。二つだけ感想を記す。

 わが投票区の立会人の1人は区長が順繰りで選任される。区長協議会でもときどき話題になる。去年(2020年)の市議選は北隣の区長が立会人だった。ということは、次は私。そう覚悟していた通りになった。1期2年で交代できる区では、立会人を経験しない区長もいる。私は2度目だ。複雑な気持ちになった。

 もう一つは塩化ビニールのマットのこと。投票所には土足で上がれるように塩ビマットが敷かれている。使わないときには丸めて保管しているのか、広げてもいつの間にか波打ってしまう。

有権者がいないとき、マットの上を歩いてみたが、ところどころでつっかかった。年寄りは、思ったようには足が上がらない。わずかな凸凹が、特に杖をついた人にはきつい。転倒防止のための新しい材質の検討が必要のように思われた。

0 件のコメント: