きのう(12月9日)、小名浜港に今年(2021年)初めてサンマが水揚げされた。
いわき民報=写真=によると、漁期終了間際の師走に初水揚げされるのは異例の事態。量も少なく、形も小さい。北海道の南東645キロ付近の公海上で漁獲し、40時間ほどかけて小名浜へ運んだ。
きょうは「サンマを食べる」という見出しを付けたが、きのうのサンマが市中に出回ったのを食べたわけではない。たまたま11月から12月にかけて3回、お福分けをいただいた。
3回目は後輩が届けてくれた。食べるのは義弟を含めて3人なので、お福分けのリレーをした。「今年はまだ食べてなかった」と喜ばれた。
後輩は海外で水産加工の仕事をしていた。ハマに近い農村部に住む。ハマにも人脈がある。で、こちらまでその恩恵にあずかった。
サンマの「今」は、毎週日曜日に行く魚屋のダンナを介して、だいたいのことは承知している。しかし、きちんと調べたわけではない。
12月4日付のいわき民報で、頭の中が整理された。小名浜の初水揚げが遅れていることを取り上げた。
おととし(2019年)は11月18日、去年は同4日。だが、今年は漁期が終盤を迎えた12月に入っても水揚げのめどが立っていない――いかにも地元紙らしい視点でサンマへの期待と不安を伝えていた。
主な理由は①温暖化による海水温の上昇②超大型の外国船による公海上での大量漁獲――だった。そんな記事が載ったあとの小名浜初水揚げだ。
温暖化に関していえば、本来ならこの時期、カツオはとっくに南へ去り、サンマが北からいわき沖あたりに下っているはずなのに、まだ北にとどまっている。
「カツオはまだまだいけますよ」。立冬を過ぎたころ、魚屋のダンナに言われた。それから1カ月。日曜日にマイ皿を持って行くと、黙ってカツオの刺し身を盛ってくれる。これも考えてみれば異例の事態だ。
いくらカツ刺しオンリーでも、冬は冬なりにほかの刺し身を食べたい、なかでも秋から初冬にかけてはサンマの刺し身を、と思っている人間には、近年のサンマ不漁は「文明」レベルのゆゆしい問題と映る。
冬のカツ刺しにからめて、サンマのことも前に書いた。2014年は9月中旬に初めてサンマの刺し身を食べた。2017年は10月末だった。2018年は11月中旬。そして、おととしは師走の声を聞いて初めてサンマの刺し身を食べた。今年は? 去年同様、口にできないかもしれない。
さて、北海道の南東645キロの公海とはどのへんか。根室からグーグルアースで距離を測ってみる。北海道というより東北のはるか東方ではないか。
小名浜に水揚げしたのは、地元漁船の一種の使命感、意地、郷土愛、そんなものからではなかったか。
0 件のコメント:
コメントを投稿