夏井川渓谷の隠居と道路(県道小野四倉線)の境界に、大きくなった木が何本かある。モミを除いて落葉したが、夏場は高い緑のフェンスができる。
木の枝の間を電話線とテレビ共同アンテナの専用ケーブル、電線が走っている=写真上1。落雷や台風時、木の枝が電線切断の原因になりかねない。
ひと昔、いやふた昔前、東北電力にこの境界の木を剪定してもらったことがある。「また頼むしかないか」。もう何年も前から思い悩んでいたことだ。先日、それが実現した。
始まりはざっと半世紀前。故義父が、元は畑だったこの土地を借りて山側の半分を盛り土し、平の街なかにあった人の家を譲り受けて解体・再建した。道路との境には、塀の代わりにモミやケヤキ、その他の若木を植えた。
50年も過ぎれば人間は枯れる。が、木は元気な時期に入る。気が付いたら幹が太く高くなっていた。なかでもケヤキが群を抜く。
どこでもそうだが、道端に沿って電柱が立ち、電話や電力の架空線が延びる。隠居のところでいきなり木の間に隠れる。そこまで木々が生長した。
まだ木が若かったころ(それでも電線に枝葉がひっかかるくらいに育っていた)、東北電力が電線保護のために枝葉を剪定した。
それからだいぶたつ。ここまで大きくなると、素人では手に負えない。むしろ、危ない。
ある日、カミサンが東北電力に電話をした。担当者が「現地を見てみましょう」というので、日時を決めて隠居で落ち合った。架空線を見るなり、「まずはNTTさんに連絡を。それでだめならこちらで対応します」という。
そこからが「壁」に遮られた。カミサンがNTTの担当部署につなごうとしても、「ただ今込み合っています」の繰り返し。連絡が付かないままでいたら、電力から電話がかかってきた。事情を聞いて電力が剪定を引き受けてくれた。そのあとは話が一気に進む。
12月15、16日の2日がかりでやるという。初日朝の作業開始時間に合わせて出かけ、あいさつをする。そこで現場のリーダーと再確認したのが、切る高さだった。
こちらの希望は「家の軒下あたり」まで。それだと「木が枯れる恐れがある。突然倒れてそばを通る車にぶつかる心配も。屋根の上あたりまで残しておいた方がいい」という。なるほど、外見ではなく木の命を見ているのか。
道路に日が差している。以前は冬場、モミの木陰が圧雪されてアイスバーンになることがあった。これだと簡単に太陽が雪を解かしてくれる。屋根も「いがかり」による傷みが抑えられる。ありがたい剪定だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿