年の瀬を寒波が襲った。昔も寒い年末がなかったわけではない。が、ここはいわきの平地。これほどの寒さを感じることは近年なかった。
極寒期は1月末。それが真冬。この年末は全国的に真冬並みの寒さになった。日本海側を中心に、大雪に見舞われた。
福島県は西から会津、中通り、浜通りの三つの地域に分けられる。その境をなすのが奥羽山脈(西)と阿武隈高地(東)。
大陸から吹いてきた北西の季節風は日本海上で水蒸気を含み、奥羽山脈にぶつかって上昇し、会津地方に大雪を降らせる。中通りも雪が積もり、ときに太平洋側の山間部も白くなる。季節風は阿武隈高地を越えたころには、冷たい「からっ風」になっている。空も晴れている。
そのからっ風が早くも年末に吹き荒れた。日曜日(12月26日)は、いつもなら夏井川渓谷の隠居で過ごすのだが、午後に用事があって平地の家にいた。
朝、隠居へ出かけても畑の土は凍っている。土いじりはできない。たまたま買い物が延び延びになっていたので、10時前に草野のマルトへ出かけた。
買い物へ行くのは、ふだんは平日の夕方だ。日曜日の朝は、若いときには家族連れで行ったかもしれないが、夫婦だけになってからは初めてだ。
カートに買い物かごを載せて品物を選ぶ。私が選ぶのは中粒のナメコ、わさび漬け、沖縄のモズクくらい。あとは野菜、パン、調味料その他、カミサンの品選びについて回る。
年末ということもあって、買い物の量が増えた。シャプラニール=市民による海外協力の会が扱っているジュート(黄麻)のレジバッグが、いつもよりかなり重く感じられた。
買い物は30分で終わった。午後に用があるのは2時から。それまでだいぶ時間がある。「コーヒーを飲みに行こう」。カミサンがいうので、薄磯海岸のカフェー「サーフィン」へ直行した。
ほぼ1カ月前の日曜日、カミサンの用事で隠居へ行くのをよして街へとどまった。サーフィンで昼食をとった。そのときの店内の様子を前に書いた。
カウンターとテーブルに透明アクリルのパーテーション(ついたて)が置いてある。席に着いたテーブルのパーテーションには女性のイラストが描かれていた。
吹き出しには「お姉さんまってェー、カフェオーレのみたいね」「カフェオーレも好きだけどウインナーコーヒーもいいね。どっちでもいいから早くして!」。右上隅の女の子は「まってェー」。
今回は11時の開店前に着いた。ちょうどテーブル席の真ん中に窓から陽光が差し込んでいた。パーテーションのイラストがテーブルに映っている。
前回の隣の席に陣取り、パーテーションと水の入ったコップの「影絵」を楽しみながら、コーヒーを飲む=写真。「久しぶりに外で飲むモーニングコーヒーだわ」
モーニングコーヒー? 忘れていた、すっかり「死語」になっていた。記者になって警察回りをしていたころ、同業他社氏とつるんで喫茶店へモーニングコーヒーを飲みに行った。
そのころのことを思い出していると、常連さんが1人、また1人とやってきた。私らも加わって雑談が始まった。どんなタコがうまいか、高いか――ハマのカフェーらしい話になった。
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