わが家から夏井川渓谷の隠居までは車でおよそ30分。集落の合間に田んぼと川辺と森を通る。
いつもは日曜日に出かける。学校も、事業所も、工事現場も休みだ。登下校の時間に子どもの姿はない。ダンプカーも走っていない。
平日になると、これが一変する。早朝には集団登校の児童に気を付けないといけない。日中は盛んにダンプカーが往来する。営業車両も多い。
ごくまれに、道路と並走するJR磐越東線で軌道工事をしていることがある。月曜日(11月29日)がそうだった。江田駅のすぐそばに重機と作業員が出ていた=写真。
11年前(2010年)の師走、やはり軌道工事の現場に遭遇した。そのときのブログの抜粋。
――いわき市小川町上小川字片石田地内。時間は平日の午前10時半ごろ。隠居へ行った帰りだった。
溪谷を抜けた平坦な扇状地に「機関車」が1台止まっていた。作業員も何人か立っている。その先にも見たことのない2両連結の「機関車」がいた。こんな時間になんだ、事故か?
線路と道路は田んぼをはさんで並行している。車から真横に見えるところまで道路を進んだときに了解した。2両連結の「機関車」はゆっくり動きながら、中央部でなにか白いキバのようなものを上下させている。
写真をパソコンに取り込んで拡大すると、メーカー名がわかった。オーストリアの線路工事用重機メーカー「プラッサー&トイラー社」製の「車両」だった。
たぶん、枕木の下のバラス(砕石)をつき固めて線路の凸凹をならし、列車がスムーズに走行できるよう、補修作業をしていたのだ。所有者は「センケン」(仙建)。
鉄道マニア、いわゆる「撮り鉄」はこういった「車両」も見逃さないだろう。初めて線路工事用の「車両」を見て、少し興奮したくらいだから、マニアには格好の被写体になる。
にしても、通常ダイヤの間隙をぬって作業をするわけだから、時間のやりくりには神経を使うに違いない。午前の最後の列車が通過したあと、午後の最初の列車が通過する前に作業を終えて、どこか、たとえば最寄りの小川郷駅で列車を回避する、といったことをしなくてはならない――。
今回は、枕木交換ではなかったろうか。前の週の日曜日だったか、隠居へ行く途中、磐城高崎踏切と上小川トンネルのそばにコンクリート製の枕木が積んであり、わきに江田の線路で見たのと同じ重機(バックホーだろう)が置かれていた。
江田では、踏切そばの空き地に「FKK」と書かれた工事車両が何台も止まっていた。郡山市の「福島軌道工業」で、あとでホームページを見たら、枕木交換などを業務にしている。
11年前のブログにもあったが、磐東線の江田あたりでは、昼をはさんでおよそ5時間、列車運行が途絶える。この空白時間を利用して軌道工事が行われるのだろう。渓谷に通い続けて四半世紀、平日に珍しい光景が撮れた――と勝手に喜んでいる。
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