もう何日も前の話だ。「土用の丑(うし)の日はうなぎのかば焼きにするからね」。その日、7月22日になって、夜、かば焼きが出た=写真。生協(パルシステム)から購入したという。
師走にカミサンの実家(米屋)で、機械でもちをつく。ドラム缶を利用したまき釜でもち米を蒸(ふ)かす「釜番」をする。昼は米を注文してくれるうなぎ屋さんから「うな重」を取る。かば焼きはそのときに食べるくらいだった。
自分のブログを読むと、7年前までは土用の丑の日にも食べている。理由があった。わが家は米屋の支店。米を注文してくれる近所の料理屋さん(今は廃業)から、丑の日に「うな重」を取っていた。
近年はウナギが激減し、2014年には国際自然保護連合のレッドリスト最新版に「絶滅危惧種」として掲載された。乱獲が大きい。
値段的に庶民が食べられるものではなくなったため、「注文してくれなくてもいいよ」。料理屋さんからいわれたのは、東日本大震災が発生した年だったろうか。確かに、この年はかば焼きどころではなかった。
パルシステムでは、鹿児島県鹿屋市の大隅地区養まん漁協と話し合いを重ね、漁協とともに「うなぎ資源回復協議会」を立ち上げた。
パックに入ったかば焼きとともに届いたチラシによると、ウナギを大きく育て、食べて得たポイントを協議会の支援カンパに生かす、という取り組みだ。
大隅に記憶があった。前に薩摩川内市の焼酎「田苑」を飲んでいたころ、景品に練り香水が付いてきた。メーカーは南大隅町にあるボタニカルファクトリーという会社だった。同じ鹿児島県のメーカーということで、コラボしたのだろう。
添付されていたカードによると、町は日本最大の照葉樹林帯にあって、約400種の植物が自生する。廃校になった小学校の一部を製造工場に利用して、地産化粧品などをつくっている。
練り香水は2種類、ハーブのレモングラスか、芳樟(ほうしょう=クスノキの亜変種)のどちらかだという。
レモングラスは南インドやスリランカなどに生息する。芳樟は台湾が原産地だ。つまりは、栽培種を利用してつくった練り香水ということになるのだろう。
使い方としては、適量を指先に取り、首筋や耳の裏、手首などに、なじませるように塗って香りを楽しむのだとか。
芳樟はクスノキと違って、主成分は香料になるリナロールだ。樟脳は虫を遠ざけるが、リナロールは人を近づける。
ウナギであれ、練り香であれ、大隅半島では地元の人間が頑張っている――かば焼きを食べながら大隅のことを思っていたら、桜島が24日夜、噴火した。
桜島は鹿児島湾に浮かぶ島だったが、大正3(1914)年の噴火で大隅半島と陸続きになったそうだ。ウナギも練り香水も桜島の東から南にかけて生産の拠点がある。火山灰の影響が少ないことを祈るばかりだ。
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