2022年7月16日土曜日

イタリアからのメール

                      
   カミサンの高校の同級生がイタリアのベローナに住んでいる。同国で拙ブログを読んでいる唯一の日本人だ。

先日、同国の若手作家パオロ・コニェッテイ(1978年~)に刺激されて、彼が私淑している同じイタリアの作家マリーオ・リゴーニ・ステルン(1921~2008年)の作品を読んだ話を書いた。それへの感想と、先日の氷河崩落事故のその後を伝えるメールが彼女から届いた。

その前に、おさらい。コニェッテイは、1年の半分をイタリア西部のアルプス山麓で、残り半分を生まれ故郷のミラノで過ごしながら執筆活動に専念している。

リゴーニ・ステルンはイタリア東部のアルプス山麓、アジアーゴで畑を耕し、蜂を飼い、森の恵みを取り入れながら、戦争や狩猟、野生動物などをテーマに作品を書いた。

私は「ネイチャーライティング」という、ある意味では新しいジャンルの文学に興味がある。研究者によると、ネイチャーライティングとは「自然環境と人間の対話、交流、共生を目指すことを主要なモチーフとする小説、詩、ノンフィクション、エッセイなど」のことだ。

米国で、1970年前後に確立したジャンルとかで、「地球規模で進行する自然破壊という現実を前に、ネイチャーライティングは全世界的な注目を集める」ようになったそうだ。

源流はヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ウォールデン 森の生活』で、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』も、石牟礼道子の『苦海浄土』もネイチャーライティングとして読むことができる、と私は思っている。

コニェッテイを読み、次いでリゴーニ・ステルンを読むことで、アメリカとはまた違ったイタリアのネイチャーライティングを知った。

それは、なんといっても物語の舞台が標高1000メートル(リゴーニ・ステルン)、あるいは1900メートル(コニェッテイ)のアルプス山麓ということだ。

知人のメールによると、イタリアも猛暑続きらしい。「今年は雪も降らず、雨も降らずで、野菜の栽培をいつもの半分に減らしました。水不足は深刻な問題になるでしょう」

そして、マルモラーダ山(標高3343メートル)の氷河崩落事故が起きる。この事故では最初、死者が7人だったが、7月9日現在で11人になった。行方不明の人間もいる。

崩落に巻きこまれた人たちは全員、完璧な登山経験者だったそうだ。彼女の友人の息子もよくこの地域の山に登っており、今回の事故で親友を失ったという。

アルプスを知るために、図書館から本を借りて来た=写真。それで知ったのだが、アルプスは西のフランス・スイスから東のオーストリアまで長く横に伸びている。

イタリアだけでも、イタリアアルプス西部、同中央部、同東部と分けられる。メールには「2100年までにアルプス氷河は消滅すると言われています」とあった。今回の事故は少しずつ溶けていくどころか、一気に崩れたために、国民に大きなショックを与えたという。

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