2022年7月24日日曜日

平潟のいかめし

           
 下の息子が、仕事に行った先からもらったといって、箱入りの平潟のいかめし=写真=を持って来た。いわきの南隣、北茨城市の平潟でいかめしがつくられていることを初めて知った。

 翌日の昼、いかめしが出た。袋ごと4~5分湯煎するか、袋から別の容器に移してラップをかけて1分ほどレンジで温める、とあったから、湯煎したのだろう。

 いかめしは北海道・函館――。函館へ行ったことはないが、テレビのグルメ番組の影響でそう思い込んでいた。

函館の製造かどうかは定かではないが、土産にもらうかなにかして、何度か食べたこともある。

 しかし、ウィキペディアにもあるように、イカの中に米を入れて炊き上げるいかめしは、北海道渡島(おしま)地方の郷土料理だから、北の料理という印象は間違ってはいない。

私は昭和39(1964)年、平(現福島)高専に入学した。最初はバレーボール部に入り、あとで陸上競技部に移った。同年、平で初めて東北地区体育大会が開かれた。

翌年は八戸で開かれた。陸上部員として参加した。八戸の飲み水とイカのうまさ、十和田湖への観光、なかでもバスガイドの名前「目時洋子」さんは、半世紀以上たった今も覚えている。

 イカと聞けば、北の八戸を思い、青森県の対岸の北海道渡島半島を思う。その北のいかめしがお隣の平潟で製造されていたとは。

 いわきはどうか。いわき地域学會がいわき市の委託を受けて、平成7(1995)年にまとめた『いわき市伝統郷土食調査報告書』がある。そこにはマイカを使った「烏賊(いか)の肝(ふ)いり」が載るだけだ。

レジュメとしては、①生イカを水でよく洗い、中の肝を取り出して、身と足などを食べやすく切る②切ったイカを少しゆでる③鍋を温め、肝を入れてよく溶かし、そこに味噌と砂糖を入れてよくかき回して炒める④そこにせん切りにした大根を入れてまぜあわせる⑤大根が食べられる程度に煮えたら、イカを入れてよくまぜあわせる――というものだ。

それに関連した「ひとくちメモ」が日本のイカ事情を教えてくれる。抜粋する。「日本人はイカ好きだが、いつごろから食べ始めたかは不明である。魚や貝のように貝塚や住居跡にその存在を示すものが残らないからである」

続いて現代の話に移り、「イカの産地といえば北海道や青森県である。なかでも八戸はイカの港である」と記す。10代でそれは体験済みだ。

いわき市内はといえば、「イカはマイカが中心である。刺し身・塩辛・ふいり・スルメと料理が多いのもマイカである」としながらも、いかめしの記述はない。

平潟では、ヒオキ食品というところが、地元に水揚げされた魚を使って、いかめしをはじめ、煮穴子・しめさば・さんま南蛮漬け・いわし生姜(しょうが)煮などをつくっている。

いわきのハマにも同じような加工食品はある。が、「ウニの貝焼き」は超高級品だし……。いかめしのような、ちょっとした土産品といったらなんだろう。サンマのみりん干しとポーポー焼きくらいしか思い浮かばない。

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