平日はだいたい正午の15分前になるとテレビをつける。民放では中央のニュースが終わり、ローカルニュースに切り替わる。
7月8日もそうして昼前、テレビをつけた。ん、安倍元首相がどうした? 「銃で撃たれる」「心肺停止の状態か」。字幕がとんでもないことを伝えている。
奈良市で参院選の街頭演説を始めて間もない午前11時半ごろ、元首相が背後から41歳の男に手製の銃で撃たれ、およそ5時間半後に死亡が確認された。
結局、8日はそのまま午後も、夜もテレビから目が離せなかった。翌9日も一日中、悶々として過ごした。
衝撃が強すぎて、コトの経過を頭に入れるだけで心身が疲れた。重苦しいだけでなく、いやな気分になった。
元ブンヤの習性で、動機は、被疑者の生い立ちは、思想は、警備態勢は、となってしまうが、ここは警察の調べを待つしかない。まずはルーティン(日課)を守る――これをあらためて自分に言い聞かせた。
朝は庭を眺める。こぼれ種から芽生えたアサガオが咲いている=写真。きのう(10日)は7時になると、隣に住む義弟を車に乗せて、近くの小学校の体育館へ参院選の投票に行った。
そのあとは日曜日のルーティン(週課)として、夏井川渓谷の隠居へ出かけ、1時間ほど土いじりをした。
1時間ほど、といっても、この日はいかにも夏らしい一日になった。ネギのうねの草むしりをすると、汗がにじむ。水をたびたび飲みながら作業を続けた。
が、早朝とは違って頭上に日が昇っている。1時間が限度といっていい。ちょうどそのくらいでネギの周りの草もあらかた消えた。
予定の作業を終えたあとは、カミサンのアッシー君を務める。山里の渓谷からハマの薄磯へ――。カフェ「サーフィン」で昼食をとる。ついでに、ママさんに進呈するものがある、という。
前の週の日曜日も、同じように隠居から薄磯へ直行した。途中、電話をしても出ない。休業日だった。10日はだから開いている、と確信して、連絡もせずに到着する。開店して間もない時間だった。
私はいつものようにグリルサンドを、カミサンはナポリタンを頼んだ。ワンパターンといえばそうだが、これも広くとらえればルーティン(いつもの注文)になる。
前はカウンターとテーブルに透明アクリルのパーテーション(ついたて)が置いてあったが、今はそれが取り払われて少し広々とした感じがした。
そして、夕方。この日最後のルーティンはいつもの魚屋へカツオの刺し身を買いに行くことだった。
元首相の非業の死を受け止めきれずにくたくたになった生活者は、とにかく「ルーティンを守る」ことでやっと落ち着きを取り戻した。
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