ある本を読んでいたら、「フレイルの悪循環」という言葉に出合った。加齢や病気で筋肉量が低下し、それが運動量や食欲にも影響して、結果的には要介護状態になってしまう――。思い当たるフシがあった。
夕食は、私はアルコールとおかずだけで、ごはんは食べない。ズボンのボタンがはまらなくなってから、そうしている。
最近は、しかしごはんだけではなくなった。たとえば、焼き肉に添えられた野菜を残す。あるいは、日曜日の晩に食べるカツオの刺し身が、若いときと同じ量なのに、だいぶ残るようになった。
残ったカツ刺しは、翌日、にんにく醤油の揚げになる。これもうまい。結果的に捨てるところはない。その意味では、食欲はある。が、一度に口にする量は若いときよりかなり減った。
私は漬物がないとごはんが食べられない。それで、夏は糠漬け、冬は白菜漬けをつくる。ナス漬け=写真=は、秋になると買って食べる。これもうまい。量が少ないので、パクパク食べるとすぐなくなる。
そんな食のあれこれと、食べる量の違いを思い浮かべて、しみじみ「年を取ったなぁ」という思いを強くする。
と同時に、この2年余はコロナ禍が社会の動きにブレーキをかけてきた。今もそれが続いている。
地域社会では、地区対抗の球技大会や体育祭、各種団体の会合・行事などが中止になり、区内会単位でも行事の延期・中止が相次いだ。
加えて、「三密」防止の自衛策として、年寄りは「巣ごもり」の時間が長くなった。すると、老化で弱くなった足腰がさらに弱くなる。
足の筋肉をみれば、それがわかる。すねも太もももずいぶん細くなった。そんな自覚があるところへ、「フレイルの悪循環」が届いた。
ここは「巣ごもり」=「自宅入院」のような実態を変えないといけない、茶の間からときどき「一時退院」しないといけない、そんな気持ちがわいてきた。
フレイルとは「か弱さ」とか「こわれやすさ」を意味する言葉だという。日本老年医学会が平成26(2014)年に提唱した概念、とネットにあった。それを踏まえて、私が読んだ本の「解説」を紹介する(原文は「ですます」調)。
「加齢や病気で筋肉量が低下する。足の筋肉量低下により歩行速度が落ちたり、疲れやすくなるため全体の活動量が減少する。全体の活動量が減少すると、エネルギー消費量が減り、動かないとお腹が空かないので食欲もなくなる。慢性的に栄養不足の状態になると、筋肉量がさらに低下し、全体の活動量が減るという悪循環へ陥る。この悪循環を断ち切らないと、要介護状態になる可能性が高くなる」
筋肉量をこれ以上落とさないためになにをするか。少なくとも、自分の人生の「空き容量」をフレイルの悪循環で使い切る必要はない。歩く時間を増やして、足の筋肉量増加の「見える化」に力を入れてみるか。
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