街へ戻って帰宅するために夏井川の堤防を通る。対岸の丘にも赤くメッシュが入っている。前方の土手にはヒガンバナ=写真。ツルボも群れて咲いている。どんよりした気持ちが花を見てやっと晴れる。
渓谷から平地に下り、小さな山を二つ越えてドライブした日曜日(9月11日)の気持ちを天気に例えると、「曇りのち晴れ」だった。
昼前は夏井川渓谷の隠居で土いじりをした。近所のKさんがやって来て、土曜日のいわき民報の話になった。いわき民報は夕刊だが、渓谷では翌朝、朝刊と一緒に配達される。
1面でいわき市内のナラ枯れ現象を取り上げていた。体長5ミリほどのカシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介する菌によって、コナラやミズナラなどの大木が枯死する。さらに、木の中で育った新しいカシナガが周りの木々にアタックし、枯死させる――という繰り返しのなかで被害が拡大する。
市内で初めて確認されたのは平成30(2018)年ごろ。それから何年もたたないのに、去年(2021年)は市内の民有林だけで2234本もの被害が確認された。
枯死木は5年ほどたつと幹が折れ、寝返りを起こす危険がある。しかし、伐採には多額の費用がかかる――そんな現状を伝えていた。
渓谷の住民は周囲の山のナラ枯れを憂慮している。仕事に、買い物に、毎日のように渓谷の幹線道路(県道小野四倉線)を利用する。いやでもナラ枯れが目に入る。
それだけではない。道路沿いでもナラ枯れが増えてきた。前に拙ブログでも取り上げたが、ロックシェッドや工事中断中のカラーコーンが置かれているあたり、字名でいうと竹ノ渡戸地区では、崖と谷の両側に点々と茶髪が見られる。これは間違いなく車の通行をおびやかす。
渓谷の小集落では、隣組がそのまま行政区になっているところがある。隠居のある牛小川がそうだ。
たまに倒木が道路をふさぐ。Kさんは、もう一人のKさんとすぐ倒木を切断して、車を通れるようにする。そうした自衛力を備えていても、行政区外のロックシェッド付近のナラ枯れは手に負えない。役所にはすでに連絡してあるという。
民有、公有の違いはもちろんある。が、自転車や自動車の通行に不安と支障をきたすようなナラ枯れ木は、緊急避難的な対策が求められるのではないか。
庭の菜園での立ち話はせいぜい10分ほどだったが、あらためてナラ枯れに対する住民の不安が深く心に刺さった。
土いじりは午前中で終え、昼食は小川の平地に下ってコンビニの駐車場で済ませた。そのあと、好間~内郷~常磐・湯本と巡った。どこでも里山に茶髪が見られた。で、冒頭に記したような気分になったのだった。
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