新川(しんかわ)にミズアオイ? 最初、情報をもらったときには、取り合わせの意外さに口があんぐりとなった。
岸辺に立って、実際に花=写真上=を見て納得した。小群落が点々とある。原因は浚渫(しゅんせつ)による川幅拡張、つまり環境(川底)の攪乱だろうか。
令和元(2019)年10月12~13日、台風19号がいわき市を直撃し、好間川・新川を含む夏井川水系に大きな被害をもたらした。
この「令和元年東日本台風」から4カ月後、自主防災組織と防災士の合同研修会が開かれた。そのとき報告された被害状況によると、9人が亡くなり、5669棟の住家が全壊~一部損壊し、ざっと7000世帯1万人が被災した。これに公共施設や農作物などを加えた被害総額は379億5000万円に及んだ。
昭和34(1959)年9月の台風、同61(1986)年8月の台風崩れなど、過去の水害4件の被害額(46億8000万円~18億円)に比べても、規模が一ケタ大きい。
その復旧と国土強靭化事業のなかで、夏井川をはじめとする各河川の立木伐採・堆積土砂の撤去が行われている。
新川もそれで一部、変貌した。内郷と平を結ぶ尼子橋から、下流の小島橋(左岸に県いわき合同庁舎がある)、梅本橋(左岸に市庁舎とアリオスがある)あたりまでは、どこかの鴨川のような雰囲気を醸し出している=写真下(令和3年9月撮影)。
この区間を見る限り、河川敷の遊歩道から岸辺までの除草と、川の浚渫・拡張が行われたことがわかる。ここに点々とミズアオイの小群落が形成された。
ミズアオイの情報は、いわきキノコ同好会の副会長Hさんからの伝言ということで、冨田武子会長から届いた。「絶滅したと思っていたミズアオイが、現在、尼子橋の下で咲いているのを確認した」
確か、相馬地方の沿岸域では津波と地盤沈降・浸食によって、農地だったところに池や湿地が出現し、国の準絶滅種であるミズアオイが復活した例が報告されている。それと同じこと(土地の攪乱=こちらは水害防止事業)が新川でも起きたのだろう。
私は、暮らしの中では新川とは縁がない。義弟を内郷の病院へ送って行くときや、気分を変えて夏井川右岸から帰宅するときに、新川に架かる橋を渡る。街へ出かけた帰りに夏井川の堤防を利用し、同川に合流する新川の終わりの姿を眺める。
いずれにしても、草に覆われて、どこに水の流れがあるかわからないような新川をちらっと見るだけだ。
もう40年近い夏井川ウオッチングの経験からいうと、土砂を除去しても岸辺にはたちまちヤナギが繁茂する。
それの延長で、新川も元のように川幅が狭まり、ヨシが繁茂して、ミズアオイは姿を消すかもしれない。種が何十年という眠りから覚めたように、また深い眠りに入るかもしれない。それまでの、つかの間の姿、なのだろうか。
2 件のコメント:
震災後の事でしたが、いわき市の新川にミズアオイが
出ていた情報を何度か見ております。
ブログで写真付きのこともありました。
情報、ありがとうございます。
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