2022年9月24日土曜日

ルリタテハの幼虫と卵

        
 庭にホトトギスを植えたら、年々数を増やした。秋の彼岸のころ、茎の先端につぼみを付ける。間もなく花を咲かせることだろう。

 まだつぼみもできていなかった9月上旬。庭から戻ったカミサンが「ホトトギスの葉が食べられた、毛虫もいる」という。すぐカメラを持って庭に出た。

上から何枚か、葉がなくなっている茎がある。別の茎の葉をめくると、終齢幼虫が2匹いた=写真上。さらにほかの茎を見たら、1ミリ弱の卵が同じ葉に点々と3個付いている=写真下。

 「食草ホトトギス 毛虫」で検索すると、一発でルリタテハが現れた。ルリタテハの幼虫と卵だった。卵は緑色で、白い筋が9本前後入っている。画像を拡大するとスグリそっくりだ。孵(かえ)った卵殻は透明で白い。

 ルリタテハの成虫は、夏井川渓谷の隠居で見たことがある。が、平地のわが家ではまだだ。ウィキペディアなどで生態的な特徴を確かめる。

 平地の森林内や周辺部に生息し、都市部の公園や緑地にも現れる。暖地では年に2~3回、寒冷地では年に1回、成虫が発生する。成虫のままで越冬し、早春にはいちはやく飛び始める。翅を開くと、黒と瑠璃色がよく目立つ、とあった。

 幼虫はどうか。地色は紫黒色で、無毒の黄白色の棘状突起をいっぱい持ち、サルトリイバラやユリ科のホトトギス、ユリ類などを食草にする。

 終齢幼虫は何日もたたずに姿を消し、代わって卵から孵ったばかりの小さな幼虫(5ミリほど)が葉裏にいた。成虫は波状的に卵を産んだらしい。

 わが家の「昆虫記」、あるいは「植物記」とでもいったらいいのか、拙ブログにはちょくちょく虫や花の話が載る。

 家の庭で、渓谷の隠居で、里山で出合った虫や花たちを記録しておけば、おのずと庭の、里山の環境が浮かび上がってくる。人間と自然の関係も見えてくる。

 たとえば、台所の南側の軒下にパセリを植えたら、葉を、花を食べる幼虫が現れた。キアゲハだった。

撮影のジャマになる花茎をよけてカメラを近づけると、突然、幼虫の頭部からニュルッとオレンジ色のツノが現れた。

アゲハチョウ科の幼虫には、「臭角(しゅうかく)」という、通常は内部にしまわれている防衛器官がある。それを突き出してきたのだった。これには驚いた。

何年か前の5月、同じ台所の軒下近く、雨戸の溝で蛹になったチョウがいた。幼虫は全体に黒っぽい。背中には黒い筋と並行して、両側に黄色い筋がある。吸盤様の腹脚(ふくきゃく)は赤い。

同じ紋様の幼虫が2匹、庭のツワブキの葉の上にもいた。葉から地面にポトリと落ちると、必死になって家の方へ移動してきた。よく見ると、軒下の空き箱や台所のガラス戸のレールにも同じ幼虫が張りついていた。

ヒオドシチョウらしかった。集団で食草から離れ、蛹になる場所を探して地面を移動してきたらしい。やがて幼虫は蛹化した。しかし、羽化したところは見ていない。食草になる草も木も庭には見当たらない。いや、知られていない食草が庭にあったのだろうか――。花が咲いて虫が現れると、いつもそんな妄想にとりつかれる。

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