庭にホトトギスを植えたら、年々数を増やした。秋の彼岸のころ、茎の先端につぼみを付ける。間もなく花を咲かせることだろう。
まだつぼみもできていなかった9月上旬。庭から戻ったカミサンが「ホトトギスの葉が食べられた、毛虫もいる」という。すぐカメラを持って庭に出た。
上から何枚か、葉がなくなっている茎がある。別の茎の葉をめくると、終齢幼虫が2匹いた=写真上。さらにほかの茎を見たら、1ミリ弱の卵が同じ葉に点々と3個付いている=写真下。
ルリタテハの成虫は、夏井川渓谷の隠居で見たことがある。が、平地のわが家ではまだだ。ウィキペディアなどで生態的な特徴を確かめる。
平地の森林内や周辺部に生息し、都市部の公園や緑地にも現れる。暖地では年に2~3回、寒冷地では年に1回、成虫が発生する。成虫のままで越冬し、早春にはいちはやく飛び始める。翅を開くと、黒と瑠璃色がよく目立つ、とあった。
幼虫はどうか。地色は紫黒色で、無毒の黄白色の棘状突起をいっぱい持ち、サルトリイバラやユリ科のホトトギス、ユリ類などを食草にする。
終齢幼虫は何日もたたずに姿を消し、代わって卵から孵ったばかりの小さな幼虫(5ミリほど)が葉裏にいた。成虫は波状的に卵を産んだらしい。
わが家の「昆虫記」、あるいは「植物記」とでもいったらいいのか、拙ブログにはちょくちょく虫や花の話が載る。
家の庭で、渓谷の隠居で、里山で出合った虫や花たちを記録しておけば、おのずと庭の、里山の環境が浮かび上がってくる。人間と自然の関係も見えてくる。
たとえば、台所の南側の軒下にパセリを植えたら、葉を、花を食べる幼虫が現れた。キアゲハだった。
撮影のジャマになる花茎をよけてカメラを近づけると、突然、幼虫の頭部からニュルッとオレンジ色のツノが現れた。
アゲハチョウ科の幼虫には、「臭角(しゅうかく)」という、通常は内部にしまわれている防衛器官がある。それを突き出してきたのだった。これには驚いた。
何年か前の5月、同じ台所の軒下近く、雨戸の溝で蛹になったチョウがいた。幼虫は全体に黒っぽい。背中には黒い筋と並行して、両側に黄色い筋がある。吸盤様の腹脚(ふくきゃく)は赤い。
同じ紋様の幼虫が2匹、庭のツワブキの葉の上にもいた。葉から地面にポトリと落ちると、必死になって家の方へ移動してきた。よく見ると、軒下の空き箱や台所のガラス戸のレールにも同じ幼虫が張りついていた。
ヒオドシチョウらしかった。集団で食草から離れ、蛹になる場所を探して地面を移動してきたらしい。やがて幼虫は蛹化した。しかし、羽化したところは見ていない。食草になる草も木も庭には見当たらない。いや、知られていない食草が庭にあったのだろうか――。花が咲いて虫が現れると、いつもそんな妄想にとりつかれる。
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