2022年10月10日月曜日

ツバメのねぐらマップ

             
 日本野鳥の会いわき支部のTさんから、全国の「ツバメのねぐらマップ」と、支部会報「かもめ」第156号の恵贈にあずかった=写真。

 マップには全国30カ所のツバメのねぐらが紹介されている。北日本(北海道・東北)は3カ所。うち2カ所は福島県内の「浜尾遊水地」(須賀川市)と「仁井田川河口上部」(いわき市)だ。

 いわき支部の解説によると、仁井田川と横川合流付近をねぐらにするツバメは約5万羽。しかし、5万羽がどういうものかは想像がつかない。

 5万羽規模のねぐらは、ほかには渡良瀬遊水地、手賀沼・大津川河口(千葉県)、加古川河口だ。最も多いのは平城宮跡(奈良県)の約6万羽だから、仁井田川河口は全国でも有数のツバメのねぐらということになる。

 前は仁井田川の本流・夏井川下流のヨシ原がねぐらだった。仁井田川と夏井川は横川をはさんでざっと4キロしか離れていない。ツバメにとっては、どちらの川筋も隣の家に行くようなものだろう。

 震災前の平成19(2009)年8月9日夕方6時すぎ、いわき支部が主催するツバメのねぐら観察会に参加した。といっても途中までで、夜7時には別の用事が入っていた。そのときの拙ブログを要約・再掲する。

――六十枚橋近くのヨシ原にあるサイクリングロードに一行が陣取っていた。春先、枯れヨシに火が入れられ、芽生えたヨシが2メートルを超えるまでに成長し、大きな草のジャングルを形成している。案内人は旧知のKさんだった。

 Kさんからいろいろ話を聞いた。ツバメがねぐら入りをするために、夏井川河口周辺の空に集まり始めるのは6時50分くらいから、だという。足元は薄暗くなっても上空はまだ明るいのでそんな時間になる、人間の日暮れの感覚とツバメの日暮れの感覚とでは時間差がある、とKさん。

 ところがKさん、いまひとつ自信がない。今年(2009年)は仕事が超多忙でねぐらを確認していないのだという。

前年までは確かにここがねぐらだった。三々五々、どこからともなく現れたツバメたちが近くを旋回する。やがて黒く大きな塊となってヨシ原の上を旋回する。今年もここがねぐらなら、そういう状況を目にすることができるのだが、という。

双眼鏡でツバメたちが集まり始めたのが分かった。肉眼では見えない。が、そこで時間がきた。黒い塊は後日の楽しみにして、泣く泣く現場を離れた――。

Kさんの不安は的中した。この年、ツバメたちは仁井田川の方にねぐらを替えた。いわき支部創立50周年を記念して発行した『いわき鳥類目録2015』にそのことが書いてある。

ツバメはおおむね9~10月には姿を消す。先日、夏井川の堤防で見かけたのが最後の1羽だったか。

気になるのはヨシ原だ。平野部の夏井川では河川敷の土砂除去と強じん化工事が行われている。六十枚橋から河口にかけても変貌が著しい。ヨシ原が消えれば、ツバメのねぐらもなくなる。

0 件のコメント: