2022年10月23日日曜日

白い羽根のような雲

                               
 金曜日(10月21日)の午後3時10分過ぎ。「見てみて、羽根のような雲がある」。カミサンが家に飛び込んできた。

庭に出ると東の空にそれらしい雲がある。隣家の屋根に遮られているので、全部は見えない。2階の物干し場に出て空を仰いだ。

 ほんとうに白い羽根のような雲が空に浮かんでいた=写真上。上空では風が強いのか、白雲が弓なりになって細く伸び、羽軸から伸びる羽弁のように雲が細く裂けている。

 少し離れたところには人の手のような雲もある=写真下。今にも人間に憑(と)りつこうとしている邪鬼の指――。そんなイメージがわいたのは、一時、川内村に住んでいた画家斎藤隆の墨絵(といっても、雲だから白色だが)を思い出したからだ。

 茶の間に戻って、画像をパソコンに取り込む。と、ほどなく、庭の方からかすかな地鳴りが近づいてきた。時計を見ると、3時19分だ。

 来たな! 身構えた瞬間、ガタガタと家が揺れる。ん? 思ったより揺れは短い。すぐ通り過ぎていった。震度3か。体がそう“判定”する。

 いわき市北部(平)では平成23(2011)年のあの日以来、震度6弱を筆頭に、5強、5弱、それよりは弱い地震をたびたび経験してきた。

 揺れからくる体感震度と気象庁の震度が、この10年余の体験を通じてほぼ一致するようになった。せいぜい3か2かで判断が迷う程度だ。

 今度の震源はいわき市の北方、双葉郡沖だ。最大震度は楢葉町の5弱で、いわきはやはり3。3レベルだと、「揺れたね」で終わる。

 たまたまここ何日か、アイヌ語が語源の「縄文地名」を考察した本を読んでいる。なかに鹿児島県沖の「鬼界カルデラ」の話が出てくる。

およそ7300年前に大噴火を起こし、海上を火砕流と大津波が走った。九州南部の縄文文化がそれで消滅した。さらに、火山灰は東北地方にまで降り積もり、やがて弥生文化が生まれる契機になった――。世界的なレベルでも最大級の自然災害だったという。

東日本大震災はおよそ1100年前の貞観(じょうがん)地震以来の超巨大地震といわれた。『いわき市史』にもそれにまつわる史実が載る。

少なくともあの震災で、千年周期で起こる超巨大地震への認識が深まった。しかし万年周期では、鬼界カルデラの大噴火がある。

「災害列島」に住んでいる人間としては、千年だけでなく、万年単位へと思考の幅を広げないといけない、ということだろう。

しかも、いわきの北には壊れた原発がある。5弱は楢葉町だが、震源はその北東、1Fの真東だった。

浜通り北部は去年(2021年)2月13日、今年3月16日と震度6強に見舞われた。あのときより揺れは大きかった。ちょっと大きな地震のたびに1Fのことが気になる。

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