何度も書いているので、いまさらの感もあるが、そこに出ているかもしれない、という予測が当たるとうれしくなる。キノコのことだ。
夏井川渓谷の隠居の庭に「キノコの生(な)る木」がある。葉のかたちから、クワの仲間のカジノキらしい。
木全体が木材腐朽菌に冒されているわけではない。まだ生きている枝もある。その証拠に、春には木の芽が吹き、初夏には花が咲く。しかし、実が生った記憶はない。カジノキは雌雄異株というから、雄木なのだろう。
最初はアラゲキクラゲ、やがてヒラタケが発生し、ここ数年は食不適のアミヒラタケが生えるようになった。
アラゲキクラゲは時を選ばない。梅雨に生えることがあれば、秋に現れることもある。ヒラタケは晩秋か初冬に見られる。対岸の森を巡っていたときには、初冬によく採った。
震災後は、森へは入らず、隠居の庭だけをチェックする。10月16日の日曜日には、「キノコの生る木」にアミヒラタケが発生していた。
いよいよ、かな。1週間後の同23日に木を見ると、ハマグリ大のヒラタケが重なって出ていた=写真上1。図星だった。
さらに1週間おけばホタテ貝くらいの大きさになるはずだが、そこまで待つと鮮度が落ちてしまうかもしれない。
二股になっている幹から太い枝に足をかけて少し登ると、手が触れた。短い柄の根元からそっと摘む。冷たい。ぎゅっと肉が詰まっている感じでみずみずしい。数としては食べごろのヒラタケが10個ほど採れた。
一方でカミサンは、ミョウガのやぶの根元をかき分けて、ミョウガの子を採った=写真上2。これはこれで今季最後の収穫になる。
さっそく、夜、ヒラタケとミョウガの子の吸い物が出た。少しとろみをつけてもらう。ヒラタケは癖がない。新鮮な分、弾力がある。今季初めての食材をじっくりかみしめる。
翌日は長ネギとヒラタケの豚肉巻き、さらに翌々日はヒラタケの味噌汁が出た。ヒラタケは淡白な分、何にでも合う。重宝な食菌だ。
隠居の庭のモミの木の根元には今ごろ、アカモミタケが出る。ところが、今年(2022年)は姿を見ていない。
先日、後輩からアカモミタケとアケビが届いた=写真上3。どちらも今年の初物だった。アカモミタケはいい出汁が出る。
コウタケやマツタケははなからあきらめている。昔はアミタケその他の雑キノコをよく採ったものだが、今は、自分のシロは隠居の庭だけだ。
今年は春に少しアミガサタケが出た。が、梅雨のマメダンゴ(ツチグリ幼菌)はゼロだった。ヒラタケが採れただけよし、とするしかないか。
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