2022年10月19日水曜日

「当て逃げ」が解決

        
 地域新聞社(いわき民報社)に入って少したってから、「警察回り」になった。いわき市は広い。いわき中央、東、南の3警察署がある。本社管内の中央署を担当した。

 同署は昭和45(1970)年4月、平・内郷・常磐3署が統合して発足した。新庁舎は内郷の新川べりにできた。

 まずは朝、次長に会って事件・事故の有無を確かめる。夕方も同じように訪ねる。交通関係は1階、刑事関係は2階。2階は敷居が高かった。せいぜい刑事官室を訪ねてあいさつするくらいで終わった。

 「交通戦争」という言葉が飛び交うほど交通事故が多発し、死傷者が増えていた。たまたま警察署にいて、交通事故の一報が入ると、顔見知りになった警官から声がかかることがあった。それでときどき現場まで出向いた。

 追突事故を起こした大型トラックの運転手が、積み荷に押しつぶされた座席とハンドルにはさまれて息絶えているのを見たことがある。今も脳裏にその姿がよみがえる。

 警察回りのあと、市役所担当になった。中央署へは運転免許の更新で行くくらいになった。

 交通事故を取材していたころは、過失の度合に応じて第一当事者、第二当事者と呼んでいたが、今もそれは変わらないだろうと思う。

 「当て逃げ」はしかし、加害者・被害者と呼ぶしかない。というのは、夏に「当て逃げ」事故に遭い、被害のすごさに呆然としたからだ。

加害者が判明し、被害者からも供述書をとるというので、先日、中央署へ出かけた。署内の奥へ入るのは半世紀ぶりだが、狭い部屋で警官と対面するのは初めてだ。ちょっと重苦しい気分になった。

 事故の顛末はこうだ。7月初めに夏井川渓谷の隠居と道路を仕切る柵(囲い塀)が壊された=写真。近所の住人から電話があって、様子を確認したあと、警察に通報した。

 されからざっと3週間後、加害者から電話がかかってきた。「警察が来てびっくりした。山側からイノシシが飛び出してきたので、左にハンドルを切ったら柵にぶつかった。すぐ家を訪ねたが、空き家だったのでそのままにしてしまった。すみませんでした」

警察と保険会社からも連絡がきた。「工事見積書が欲しい」。前に柵の工事をした大工氏に見積もってもらい、保険会社に見積書を送った。するとほどなく、大工氏に連絡がゆき、両者の間で工事の話がまとまった。

修復には丸太やバンセンが必要になる。このところ諸物価が高騰している。発注が遅れるとさらに資材が値上がりする。資材を早めに確保する必要があったようだ。

警察からは「いずれ供述書をとるようになる、そのとき見積書を持ってきてほしい」ということだった。

それも終わって、あとは工事を待つだけ、というところまできた。その工事がきょう(10月19日)始まった。

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