2022年11月10日木曜日

ハクチョウの近くをダンプが

                     
 この時期、平・塩~中神谷の夏井川で羽を休めるコハクチョウは、肝がすわっているのかもしれない。いや、状況に即応する能力が高いのかもしれない。

 新川合流部から下流のサケやな場の先まで、サッカーコートが何面もできるくらいの右岸で重機が動き回っている。

前に、河川敷にたまった土砂を除去し、岸辺の立木が伐採された。そこで再び土砂の除去が始まった。工事の流れからすると、最終的な護岸工事の一環なのだろう。

小川町・三島の夏井川下流でも同じ工事が行われている。塩と三島の中間、一番古い越冬地である平窪(右岸は赤井)の夏井川は見ていないのでわからない。が、いわきの夏井川は、今シーズンもハクチョウにとっては落ち着かない環境だ。

今シーズン、いわきへの第一陣は10月初旬にやって来た。わが生活圏の塩~中神谷へはなかなか姿を見せなかった。10月22日になって初めて、中神谷の「川中島」に2羽が飛来した。

そのことをブログに書き、いわき民報の「夕刊発磐城蘭土紀行」に載ると、三島で残留ハクチョウにえさをやっていた「白鳥おばさん」のSさんから電話がかかってきた。

今シーズンのハクチョウ目撃情報を教えてくれる。10月7日に2羽が飛んでいるのを見た。大水で下小川に流された「エレン」はやがて姿を消し、偶然、下小川に残留していたもう1羽の「コレン」も、先日、下小川からいなくなったという。

コレンの場合は夏井川の土砂除去工事の影響らしい。下流の平窪でエレンも、コレンも仲間と一緒にいるといいけど……。私も願望を込めて同意した。

10月22日に中神谷の川中島に飛来して以来、平の街へ行くたびに、帰りは夏井川の堤防を通ってハクチョウの有無を確かめる。

2羽だけが何日か続き、やがて新川合流部とサケやな場のほぼ中間、どちらの重機からも離れている岸辺(その延長線上の山腹に古刹・専称寺がある)に、何羽かが羽を休めていた。

そのうち、重機にもダンプカーにも慣れたのか、距離を取りながらも次第に“共存”するようになってきた。おととい(11月8日)の午後、堤防を通ると、土砂除去現場の近くにいた=写真。

重機やダンプカーの動きも、音も気になる。が、慣れるしかない。ハクチョウの数が増えていくにつれて、ハクチョウ自身がそう腹をくくったようだ。

そう、ハクチョウもわかっているのだ。ハクチョウは人間と違って翼を持っている。人間なら「世の中を憂(う)しと恥(やさ)しと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」(山上憶良)だが、ハクチョウは身の危険を感じればすぐ飛び立てるのだから。

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