2022年11月14日月曜日

電柱建て替え

                               
 先週の11月8日から12日までの4日間、家の前の通りにユアテックの作業車が止まって「配電線工事」をした。

 わが家に届いたチラシによると、工事の内容は目の前の電柱からざっと40メートル東に立つ、隣の電柱を建て替えるものだった。

 10代の終わりに宮沢賢治にはまり、全集を買って読んだ。その中の童話「月夜のでんしんばしら」は、文章の合間に「劇中歌」のような歌が挿入される。

 その一つの「ドッテテドッテテ、ドッテテド、/でんしんばしらのぐんたいは/はやさせかいにたぐいなし/ドッテテドッテテ、ドッテテド/でんしんばしらのぐんたいは/きりつせかいにならびなし。」

 その影響もあって、若いときに「長いデンシンバシラの短い話」という散文詩を書いた。きっかけは小学2年生になったばかりの4月中旬、ふるさと(現田村市常葉町)が大火事になったことだ。それを、10年以上たってやっと振り返られるようになった。その書き出しだけを紹介する。

「風と火がごっちゃになって、ある町を、一夜のうちに焼野原にしたときのこと。最後のさいごまで、みごとによく燃えたのは、道々のデンシンバシラであった。ほんとによく燃えた。そこでこんどは、燃えないコンクリのデンシンバシラが、酒屋だの、床屋だののバラックが、なかば完成した、ちょうどそのころに、昔よりはずっと立派にきれいにそろえて立てられた」

そんな人間なので、地中深く埋め込まれている電柱がどう引っこ抜かれて、新しい電柱がどう差し込まれるのか、とても興味がある。

でも現場監督よろしく、ずっと見ているわけにはいかない。チラシには、初日と2日目は準備作業、3日目が電柱建て替え作業、最終日は撤収作業とあった。

 3日目の作業を朝・昼・午後と、それぞれ10分ほどだが、家の前から眺めた。作業車が計6台。それぞれ役割が違っている。

 箱型の作業スペースを頭に載せた高所作業車がある。荷台に蓄電機のようなものを載せたトラックがある。

そのうち、1台から電柱のようなものが伸びて、古い電柱のそばに立った=写真。ネットで調べて「電柱元位置建替作業車『スキップ』」というものらしいことがわかった。ユアテックが東京電力、東北電力と共同で開発した、とある。

 従来の工法だと、元の穴での建て替えには、別の穴を掘って仮電柱を建てるなどするので、1~2カ月がかかった。

  それが、作業車両と一体化した伸縮自在の仮電柱を建てることで、一日で電柱を新しいものに取り換えることができるようになった。しかも、停電なしで。

 最終日は、お昼をはさんで、午前がわが家の前の電柱、午後が新しい電柱の「仮の器具」を取り外す作業のようだった。

なかでも感心したのは、「さすまた」のような棒を使って器具を外したり、取り付けたりしていることだった。高圧電線と向き合う配電部門ならではの道具なのだろう。

家の中でドライバーを握るくらいしかしない人間には、想像を超える不思議な光景だった。

(追記:けさも高所作業車が来て、新しい電柱のそばの電線を相手にいろいろやっている。別の隣組の人の話だと、同じ作業がそこでも始まるらしい。そのつなぎの作業か)

0 件のコメント: