毎週月・金曜日の2回、牛乳瓶が各2本届く。朝起きると、私が勝手口にある牛乳箱まで取りに行く。先日、11月から値上げになるというチラシが入っていた=写真。
適宜、読点を加え、誤記を直して文章を紹介する。――国内の酪農情勢は円安やウクライナ戦争などの影響で飼料が急騰し、2022年11月から牛乳価格が大幅に改定されることになった。
加えて、商品製造にかかる牛乳以外の諸原料価格、包装資材の価格、エネルギーコスト、物流費などの高騰が続き、取扱商品すべての価格改定の申し入れが各メーカーから届いた――。
「つきましては」と値上げのお願いになるわけだが、「やっぱりきたか」そんな感慨がよぎった。
10、11月と値上げラッシュが続いている。メディアの報道(帝国データバンク調べ)によると、10月は約6700品目、11月は約830品目、来年(2023年)はさらに2000品目が値上げを予定しているという。牛乳は数ある値上げ品目のなかの一つにすぎなかった。
これほどの値上げラッシュはいつ以来だろう。思い浮かぶのは昭和48(1973)年10月に始まった第4次中東戦争を契機とするオイルショックだ。
列島改造ブームによる地価高騰でインフレが進む中、石油危機が発生して便乗値上げなどが相次いだ。
図書館に電子化された地域新聞がある。記憶ではあいまいなので、いわき民報を開いてみた。
師走1カ月間の見出しから当時の社会状況を探ると、こんな感じだ。大手企業の節電10%を実施、市の来年度予算は物価高に対応して経常経費を5%アップ、公共事業は抑制、常磐共同火力発電所は12%減産、飼料高騰に低利融資、LPガス規制からタクシー運転手がスタンド経営者を殴る……。
いわき民報社も総需要抑制策の直撃を受けた。減ページの社告が12月11日に載る。入社して2年半余、新米記者だった私も、このときには驚いた。
「石油危機にともなう電力抑制によって、新聞用紙の不足はますます深刻になり、メーカーから25%割当削減の通知を受けましたので、いわき民報社は昨10日付紙面から2ページ減少し、8ページ建てに変更することになりました。用紙事情が好転するまでの緊急措置ですので、ご了承ください(以下略)」
翌年も「狂乱物価」の波は続き、日本経済は戦後初めてマイナス成長を記録した。いわゆる「高度経済成長」がこれで終焉した。
それはともかく、今度の円安による物価高で庶民の暮らしはどうなるのか。現役世代は、賃金は上がらないのに支出は増えていく、そんな厳しい経済状況におかれている。年金生活者も事情は同じだ。
きのう(11月3日)、近くのスーパーへ買い物に行った。いつもマイバッグがいっぱいになる。今までは5000円未満ですんだのが、このごろはそれを超えるとカミサンがいう。「悪い円安」で、日本は働くには安い国になり、暮らすには高い国になったのか。
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